BSAの不正対策の中心は、世界中の重要な市場においてソフトウェアの不正コピーの削減を目指す、政府との継続的なエンゲージメントにあります。
BSAは、各国政府が自国内で不正使用を減らすためには、以下の5つの要素を実行する必要があると考えています。
- 国民の教育啓発と意識向上:各国の政府は、企業や国民に対して正規製品の使用を奨励し、それに報いる一方、ソフトウェアの不正使用に伴うリスクを周知させることによって、クリエイティブな仕事を尊重することの重要性に関する一般の意識を向上させることができます。
- 著作権に関する世界知的所有権機関条約(WIPO著作権条約)の義務の履行:世界のさまざまな著作権法やその他の知的財産法は、技術革新のスピードに対応できていません。クラウド・コンピューティングの出現やスマートフォンやタブレット端末等のネットワーク・モバイルデバイスの急増により、政策立案者はソフトウェアやその他の著作物の保護機能を最新のものに変える必要があります。
- 強力かつ実行可能な法執行メカニズムの構築:3. 強力かつ実行可能な法執行メカニズムの構築:強力な著作権法は不可欠ですが、それが効果的に執行されなければ意味がありません。各国政府は、知的所有権保護のための国際基準を満たす法律を導入および施行することによって、WTOの知的所有権の貿易関連側面に関する協定(TRIPS)に定められた義務を履行する必要があります。
- 専門のリソースで権利保護支援を強化:各国は、以下の方法で知的財産権の権利保護を向上することができます。
- 国レベルおよび地域レベルで専門的な知的財産権保護支援機関を作り、知的財産盗難について調査し、起訴する専門のリソースを提供する。
- 複数の国において法執行の連携を改善するため、警察とその他の権利保護支援機関の間で国境を越えた協力関係を強化する。
- 警察官および裁判官(必要に応じて、専門の知的財産裁判所の設立を含む)の研修を支援するとともに、不正使用の権利保護支援の最前線で取り組む人々が、知的財産盗用の性質の変化に対し適切に対応するために必要なツールを入手できるよう、良質な技術的支援を行う。
- 模範による指導:世界最大のソフトウェアユーザーは各国の政府であるため、この重要な問題を国民に真剣に考えてもらうための最も効果的な方法は、政府全体で「不正ソフトウェア・ゼロ容認」方針を導入することです。これを実現するには、民間企業が倣うべき模範となるソフトウェア資産管理方針を導入します。
BSA地域政府キャンペーンの概要
国民意識向上キャンペーン:
BSAは国や地方自治体と協力して、ソフトウェアの不正コピーに伴う法的・経済的影響について国民の意識を向上させるために、各国で政府主催によるキャンペーンを展開しています。このようなプログラムは、ソフトウェアの不正コピーに対する企業や消費者の文化的な認識を変えるのに非常に効果的です。以下は、BSAによる取り組み例です。
- 日本:BSAは、日本の地方自治体や学校に対してSAM構築の支援を行ってきました。その結果、2009年に神戸市を「SAMモデル自治体」に認定したほか、石川県や宮崎県などでもSAMを導入し事例として公開しています。
- ブラジル:BSAは、模倣品対策・知財全国評議会(CNCP)への正式な参加を通じて、地元政府と協力しています。CNCPは、不正使用対策方針の策定を監督し、知的財産権について政府と民間団体との協議を積極的に推進します。
- 中国:2012年後半、BSAは中国銀行業監督管理委員会(CBRC)に招かれ、海賊版・偽造版ソフトウェアのセキュリティ・リスクに関する主要な調査結果についてプレゼンテーションを行いました。地方の農村信用協同組合、農村商業銀行、金融資本管理会社、信託会社から、ソフトウェアの展開と認証を担当するITマネージャー100人以上が参加しました。
- マレーシア:BSAはソフトウェアの不正コピーをなくすため、マレーシア政府と20年以上にわたって緊密に連携してきました。国内取引・協同組合・消費者省との戦略的提携により、多数の共同ブランド意識プログラムが実施されました。その中で特筆すべきものは、不正コピーと偽造品の撲滅を目的とした「Ops Tulen」というキャンペーンです。同省の権利保護支援部門は過去10年間だけでも、著作権を侵害している企業エンドユーザーに対して353件の強制調査を実施し、5500万ドルを超えるソフトウェアとハードウェアを押収しました。
- メキシコ:BSAはメキシコ政府と連携して経済省を支援した結果、経済省は世界で初めてCertification in Standards-based SAM for Organizations(つまりCSS(O))を取得した政府機関となりました。
- ポーランド:ポーランド経済省によるBSAソフトウェア資産管理(SAM)プラクティスの導入が成功したことを受け、ポーランド経済省は、BSAとポーランド商工会議所とともに「Zrob-to-SAM(o)」(「Do-the SAM(e)」)キャンペーンを立ち上げました。このキャンペーンの目標は、ポーランド全土にSAMプラクティスの利点を伝えることです。
- トルコ:BSAは2009年以降トルコの警察と協力し、違法なソフトウェアの使用に伴うリスクを企業に再認識してもらうための共同広告イニシアチブを進めています。