ニュース - 2016.07.08
「グローバルなクラウド促進のため、データ移転に関する持続可能な国際的枠組みを目指すべき」
BSA、国際会議「クラウド・コンピューティングをめぐる世界の政策環境と実務の最新事情」で提言
BSA | The Software Alliance(BSA | ザ・ソフトウェア・アライアンス、以下BSA)は、2016年6月14日に開催された国際会議「クラウド・コンピューティングをめぐる世界の政策環境と実務の最新事情」に於いて、「グローバルなクラウド促進のため、データ移転に関する持続可能な国際的枠組みを目指すべき」との提言を行ったことを発表しました。
本国際会議は、BSAの調査報告書「2016 BSA クラウド コンピューティング スコアカード」の発表にあわせて開催されました。クラウド・コンピューティングは、経済成長を促すテクノロジーやサービスへのアクセスを拡大させ、大規模事業者だけでなく、新規事業者や小規模事業者、一般消費者に至るまで、かつてない生産性や接続性向上、競争力の強化をもたらしてきましたが、他方で、情報セキュリティやプライバシー保護の観点からの懸念や誤解、又はこれらの名目の下にクラウドの普及が妨げられ、依然としてユーザーがクラウド・コンピューティングの恩恵を十分に享受できない状況も見受けられます。このような状況の中、官民のオープンな対話を通じて、クラウド・コンピューティングに関する懸念や誤解を払拭し、情報共有を行い、日本がクラウド・コンピューティングにおいてグローバルにリードする方向性を探りました。
具体的には、クラウドサービス利用を含む最近のサイバーセキリュティ政策の動向、安全なクラウドのためのプライバシー確保・セキュリティ促進の取り組み、また、地方創生などにおけるクラウドの社会的に有益な活用に関する講演に続き、「日本がクラウド活用における現在の成功を踏まえ、クラウドの利点を活かしながら、現在または将来的に直面する課題をどう乗り越えるか?」をテーマに、国内政府関係者や産業界代表らが参加し、グローバルでのクラウド活用に向けた活発な議論が行われました。
BSAのアジア太平洋政策担当シニア・ディレクター、ジャレッド・ラグランドは、「2016 BSA クラウド コンピューティング スコアカード カントリーレポート(日本)」の調査結果を分析した上で、「日本は、クラウド・コンピューティング活用するための環境整備においては、国際的にリーダー的存在です。日本が引き続きクラウド・コンピューティングで世界をリードしていくためには、今後もプライバシーまたはサイバーセキュリティの制度を改革し、実際のクラウド利活用においても、政府からのガイダンスが障壁とならないように留意すべき」と強調しました。
BSAのアジア太平洋政策担当シニア・ディレクター
ジャレッド・ラグランド
また、BSAのグローバル政策担当シニア・ディレクター、クリス・ハフィンスバーガーは、EUと米国間のデータ移転における新たな枠組みであるプライバシー・シールドや米国における監視活動の改革の最新動向に触れ、国境を越えて移転するデータに関する国際的合意形成の重要性を強調し、それらの新たな事例として、日本も参加しているAPEC越境プライバシールールシステム(CBPR)や環太平洋戦略的経済連協定(TPP)等に触れました。また、「クラウドを含むオンラインのデータ・サービスを促進するためには利用者からの信頼が不可欠であり、そのためには、法的効力のある民間の自主的な取り組みを通して、利用者のプライバシーやデータを保護することが重要です。一方、プライバシーやセキュリティ政策においては、国や地域によって孤立するのではなく、クラウドをはじめとするインターネットの接続で可能な新たなサービスや技術革新がグローバルに発展するよう、長期に持続可能な枠組みをつくるために国際的協調が重要である」と締めくくりました。
BSAのグローバル政策担当シニア・ディレクター
クリス・ハフィンスバーガー
今回の国際会議においての重要なポイントは、世界や日本の政策決定者にとって、最優先の課題が今後待ち受けているという点です。クラウド・コンピューティングの利点を最大限に活用したい国は、プライバシーやセキュリティ、安全性への期待を犠牲にせず、クラウド利用によってもたらされる恩恵に対して、前向きに政策環境を整備すべきことが重要な点として、会議が締めくくられました。
今回の国際会議の開催概要は、以下のサイトからご覧いただけます。
https://bsa.or.jp/about-bsa/events20160616
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