ニュース - 2021.12.14

インターネットオークションでのソフトウェアダウンロード販売に対し、大阪地方裁判所が、販売定価での損害賠償請求を認める民事判決

インターネットオークションでのソフトウェアダウンロード販売に対し、大阪地方裁判所が、販売定価での損害賠償請求を認める民事判決

BSA | The Software Alliance(BSA |ザ・ソフトウェア・アライアンス、本部:ワシントンDC、以下BSA)は、大阪地方裁判所民事第21部が、2021年11月9日、東京都内の男性がインターネットオークションで、オートデスク社が著作権を有するソフトウェアのダウンロード販売が著作権法違反に当たるとして6000万円の損害賠償の支払いを命じる判決を出したと発表しました。
この判決に先立ち、男性は、2020年11月18日に著作権法違反及び不正競争防止法違反で大阪検察庁に起訴され、大阪地方裁判所は2021年2月9日に懲役1年6ヶ月、執行猶予3年、罰金50万円の判決が言い渡されていました。その後、オートデスクは、2021年4月6日、男性に対し、大阪地方裁判所に損害賠償を求める民事訴訟を起こしました。
オートデスクは、男性が2014年頃からヤフーオークションで海賊版プログラムを販売し、オートデスクに販売利益相当額として11億6,059万6,750円の損害を与えたと主張していますが、損害回復の可能性を考慮し、一部請求として6000万円の支払いを求めました。
訴訟で男性は、自身の販売が著作権法違反に当たることは認めつつ、製品の種類により定価が異なる、著作権法114条3項の解釈、過失相殺、消滅時効が適用されるなどを理由に賠償額の減額を求めましたが、判決は、次のとおり、男性のいずれの主張も退け、11億6,059万6,750円の損害の認定および一部の損害額の請求も含めオートデスクの主張をすべて認めました。
第一に、男性は、損害賠償の基礎となる製品の価格につき、サブスクリプションの種類に応じて算定すべきであると主張しました。これに対し裁判所は、男性が、製品の販売と同時に、製品の認証を無効にして永久版として使用できるようにするクラッキングプログラムを販売していたとして、この主張を退けました。
第二に、男性は、著作権法114条3項に基づく損害賠償額について、販売費用などの経費を控除すべきであると主張しました。これに対し裁判所は、オートデスクが日本市場で販売している定価に基づいてライセンス料(消費税込)を算定すべきと判断しました。判決は、その理由として、ユーザーはサブスクリプションの種類に関わりなくクラッキング・プログラムを利用することで永久版を入手できることパーマネント・タイプのプログラムを入手することができ、オートデスクは海賊版製品の販売が行われたことで、販売利益相当額の損害を被っていること、男性が行ったライセンス認証システムを回避できるクラッキングプログラムの販売は著しく悪質であり、販売市場への影響も無視できないことを挙げています。
第三に、男性は、オートデスクが男性の違法販売を知りつつ放置したとして、過失相殺を主張しました。裁判所は、男性がインターネットオークションサイトでのオートデスク製品の海賊版を販売していたことをオートデスクが認識していたとしても、それによりオートデスクが違法行為を防止する義務を負うことはないと判断しました。
第四に、男性は、オートデスクが男性の侵害行為を知っていた可能性があるとして、損害賠償の時効消滅を主張しました。これに対し裁判所は、オートデスクが、現実に男性の違法行為を知ったのは、大阪府警が、オートデスクに対し男性に対する告訴の意思を確認した2020年9月18日であるとし、男性の主張には根拠がないとしました。
著作権法114条3項のライセンス料相当額の損害について、日本国内では限界利益を上回る額とすることに反対する学説も主張されています。しかし、この種事件に関しては、定価が損害賠償額の算定基準とするのが裁判例の一貫した傾向であり、本判決もこのような裁判例の一つです。なお、過失相殺と消滅時効の問題については、本判決が初めての判断となります。

 
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