ライセンス管理を行う対象となるコンピュータの台数が、とても多い場合には、「ソフトウェア管理支援ツール」を利用することも大変便利です。
「ソフトウェア管理支援ツール」とは、各クライアントのコンピュータにインストールされているソフトウェアの情報を自動的に収集するツールのことを指します。
- 1.調査目的と対象に応じて「ソフトウェア管理支援ツール」を決定します。
- 2.ツールを活用して調査するスケジュールを決定します。
- 3.まずは「ソフトウェア管理支援ツール」を動作させて状況を確認します
- 4.「ソフトウェア管理支援ツール」の収集したデータのチェックをします。
- 5.データと実態に乖離がある場合、サンプリングチェック等実施します。
- 6.データが収集されたら、まずは棚卸作業(保有数との比較)を実施してみます。
- 7.棚卸しデータをメーカー側の登録情報と比較参照してみます。
1.調査目的と対象に応じて「ソフトウェア管理支援ツール」を決定します。
「ソフトウェア管理支援ツール」には、クライアントにインストールして利用するものや、サーバー側でログオンした情報をトリガーにして収集するものがあります。また、Windowsだけを対象にしたものや、Macintoshについても調査できるもの等、各種販売されているツールによって特徴が異なります。
また、ツールの販売だけを行っているベンダー以外に、レポート作成機能(またはサービス)等を付加したようなツールもありますので、各ご担当の方の事情に応じて、ご利用されるツールの決定を行います。
「ソフトウェア管理支援ツール」は、CD等で配布されオフラインで動作するPCの情報をオフラインで収集するものも存在しますが、多くはインターネット等のネットワークに接続されたコンピュータを調査する際に利用されることが、多く見られます。調査目的に応じて、調査範囲についても予め計画をして、ツールで調べる範囲と手作業で実施する範囲と区分けして計画されるとより作業が実施しやすくなります。
2.ツールを活用して調査するスケジュールを決定します。
棚卸し作業を実施することは、財務諸表で表現される貸借対照表を作成する行為に類似しています。
よって、何月何日時点でのインストール情報を取得することが望ましいのですが、ネットワークの環境によっては、一定期間「ソフトウェア管理支援ツール」を利用して、統計的に数量を把握することも有効になる場合があります。
ネットワーク接続されたコンピュータを対象にして「ソフトウェア管理支援ツール」を利用して調べる場合、全てのコンピュータの情報を完全に捉えることはできません。
これは、一般的には各クライアントのコンピュータが起動されている必要があったり、各クライアントの環境が特殊な場合等に、全ての情報を完璧に捕らえることは困難となります。しかし、統計的に数量を把握し、例えば資産管理されているコンピュータの台数等、他の参照可能なデータとも比較を行うことで、「ソフトウェア管理支援ツール」で収集されたデータの客観性と正確性を向上させることが可能になります。また、測定する期間を特定することは、棚卸し作業を実施する際に重要なポイントになります。
3.「ソフトウェア管理支援ツール」を動作させて状況を確認します。
「ソフトウェア管理支援ツール」では、一般的にコンピュータを特定する情報(IPアドレス、Macアドレス他)や、コンピュータネーム、ソフトウェアの名前やバージョン情報を収集することができます。
こうした情報から、それぞれのアプリケーションが総数で何本のインストールされているか把握するだけでなく、各コンピュータにインストールされているソフトウェアの把握や、部門毎での集計等のクロスレファレンスを可能にする管理を行うと、より便利な情報としてご利用いただけます。
また、「ソフトウェア管理支援ツール」自身に、そうしたクロスレファレンス機能を保有しているものもありますので、各「ソフトウェア管理支援ツール」ベンダーにご確認されると参考になると思われます。
4.「ソフトウェア管理支援ツール」の収集したデータのチェックをします
「ソフトウェア管理支援ツール」の収集したデータは必ずしも完璧であるとは限りません。データを収集された際に、例えば保有するコンピュータ資産管理表と照合して総数のコンピュータ数が適切であるか、Windows等OSの情報とIE等多くのコンピュータにインストールされているソフトウェアのインストール総数をチェックすることで、ある程度客観的に「ソフトウェア管理支援ツール」の動作状況を把握することができます。
ライセンス管理ツールを使用して棚卸し作業を実施する場合には、一般的にライセンス管理ツールで収集された各ソフトウェアの名称、バージョン等を確認いただき、その数量を棚卸表に転記を行います。転記された棚卸表が正しく転記されているかどうか、または情報が客観的に収集されているかどうかを後ほど検証する際には、この「ソフトウェア管理支援ツール」で収集されたデータの検証が有効になるので、転記された際の元データは保存されることをお奨めします。
5.データと実態に乖離がある場合、サンプリングチェック等実施します
「ソフトウェア管理支援ツール」で収集したデータと各種参照の情報とに大きく乖離がある場合、「ソフトウェア管理支援ツール」で収集された各コンピュータを同じ条件でサンプリングを行い、手作業でサンプリングチェックを行うことで、情報の修正等を実施することができる場合があります。保存されているデータを分析して、合理的な方法で検証作業を行います。
6.まずは棚卸作業(保有数との比較)を実施してみます。
ある程度「ソフトウェア管理支援ツール」で収集されたデータの検証ができましたら、まずは棚卸表の作成を進めてみます。
実際にインストール情報だけを見て検証している場合と、保有ライセンス数と照らし合わせて検証する場合とで、把握できる状況に変化がでる場合があります。その後の作業を合理的に進めるうえでも、一度棚卸表を作成して検討されると大変便利です
7.棚卸しデータをメーカー側の登録情報と比較参照してみます
棚卸し作業をより客観的にするためにも、各メーカー側の登録情報も参照してみます。
登録情報を参照できるソフトウェアメーカーは全てではありませんので、各メーカーにお尋ねいただくことになります。
各ソフトウェアメーカーの情報と参照することで、ソフトウェア購入時の購入方法が適切な方法で購入されているかどうか、またはバージョンアップの利用状況、ライセンス購入等より便利な購入方法の検討の参考となります。
今後のソフトウェアのご利用にも参考になるのと同時に、作業を行った棚卸データの客観性を高めることで、リスクの軽減を図ります。