■2010/10/1
日本で違法コピー率が10%低下すれば、
新たに9,576人分の雇用および約1兆126億円規模の経済活動が生み出され、
約2,075億円の政府税収が増加すると試算
〜 違法コピー対策が速やかに実施されるほど、効果は一層拡大 〜
ビジネス ソフトウェア アライアンス(BSA)と大手グローバル市場調査会社のIDCが実施した最新の調査によれば、アジア・太平洋地域におけるソフトウェアの違法コピーを4年間で10%減少させることにより、同地域に約410億ドル(約3兆4,030億円)規模の経済効果が生み出され、35万人規模の新たな雇用が創出されるとともに、政府税収は約90億ドル(約7,470億円)増加すると試算されました。さらに、今後の2年間で10%の違法コピー率の減少が前倒しで達成されれば、その効果はさらに33%向上する可能性があり、その場合、2013年までにアジア・太平洋地域において生み出される経済活動は、約410億ドル(約3兆4,030億円)を上回り、550億ドル(約4兆5,650億円)に達することが予想され、また、税収増は約90億ドル(約7,470億円)を超え、120億ドル(約9,960億円)に達すると見込まれます。
『PC用ソフトウェア違法コピーの減少による経済効果』報告書によれば、 日本におけるパーソナルコンピュータ(PC)用ソフトウェアの違法コピー率を現状の21%から、今後4年間で10%減少させることにより、2013年までにハイテク分野では9,576人を超える新たな雇用が創出され、また、約89億ドル(約7,387億円)規模の経済活動が生み出されるとともに、税収増は約18億ドル(約1,494億円)に達する見込みです。さらに、これらの経済効果の77%は国内経済へ還元されると予想されています。
さらに、違法コピーの減少がより速やかに達成されれば、これらの効果は一層高まるとの試算が示されました。仮に日本における違法コピーが、2年間で10%減少した場合は、経済活動および税収増がさらに38%高まる見込みで、この場合、2013年までに日本で新たに生み出される経済活動は約89億(約7,387億円)から約122億ドル(約1兆126億円)規模に、また政府税収は約18億ドル(約1,494億円)から約25億ドル(約2,075億円)に拡大することが予想されます。
BSA日本担当事務局長の松尾早苗は次のように述べています。 「ソフトウェアの違法コピーを減少させる取り組みは、日本にとっても重要な景気刺激策となります。今回の調査で明らかにされたように、早急かつ積極的なソフトウェア違法コピー対策を行えば、将来的には大きな経済的利益を得ることが可能となるでしょう。それはソフトウェア産業だけに限られるだけでなく、アジア地域経済全体にとっての利益にもなるものです。」
今回の調査では、アジア・太平洋地域ではオーストラリア、中国、香港、インド、インドネシア、日本、マレーシア、フィリピン、シンガポール、韓国、台湾、タイおよびベトナムの、13の国と地域が対象となっています。
将来的には大きな経済的利益を得ることが可能となるでしょう。それはソフトウェア産業だけに限られるだけでなく、アジア地域経済全体にとっての利益にもなるものです。」
今回の調査では、アジア・太平洋地域ではオーストラリア、中国、香港、インド、インドネシア、日本、マレーシア、フィリピン、シンガポール、韓国、台湾、タイおよびベトナムの、13の国と地域が対象となっています。
世界的にみた場合、今後4年間でソフトウェアの違法コピーが10%減少すれば、調査対象となった42ヶ国において新たに約1,420億ドル(約11兆7,860億円)規模の経済活動が生み出され、その80%以上が各国・各地域の産業に還元されると見込まれます。同時に、全世界で50万人規模に及ぶハイテク関連の雇用が創出され、政府税収はおよそ約320億ドル(約2兆6,560億円)増加すると見込まれます。また、違法コピー率の10%の減少が今後2年間で達成され、その効果が前倒しで得られる場合には、経済的利益は36%上積みされ、2013年までに新たに生み出される経済活動は約1,930億ドル(約16兆190億円)規模に拡大し、政府の税収増は約430億ドル(3兆5,690億円)に達する見込みです。
さらに、BSAアジア・太平洋地域 マーケティング担当シニア・ディレクターのローランド・チャンは、次のように述べています。
「アジア・太平洋地域の市場規模からみて、ソフトウェアの違法コピーの減少によるハイテク分野の新たな雇用50万人の5分の3以上はアジア・太平洋地域において創出されることになるでしょう。これは、ソフトウェアの違法コピー減少が速やかに行われた場合に、この地域で発生する経済的利益がどれほどの規模になるかを示す指標にもなるものす」。
またIDCアジア・太平洋地域副社長のビクター・リム氏は次のように述べています。「ITの流通やサービスは、各国ごとのローカルな活動なので、ソフトウェアの違法コピー減少がもたらす収入増の大部分は、現地経済に還元されることになるでしょう。事実、今回の調査では、違法コピーを4年で10%減少させた場合にアジア・太平洋地域で発生するGDP増額分のうち、76%がこの地域の利益となることがわかっています。」
BSAでは、ソフトウェアの違法コピーを効果的に減少する方策として、以下のような対策を推奨しています。
- 知的所有権の啓発教育を推進するとともに、ビジネスの場におけるソフトウェア資産の管理・最適化については「ソフトウェア資産管理」(SAM)が広く採用されること。
- 世界知的所有権機関(WIPO)著作権条約を施行し、オンラインおよびオフラインにおける著作権保護のための実効性ある法的環境を整えること。
- 世界貿易機関の「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定」(TRIPS協定)で義務付けられた、強力かつ機能的な知的所有権保護執行のシステムを整備し、また、クラウド コンピューティング技術のような新しいソフトウェア イノベーションの不正利用や著作権侵害に対する厳正な取り締まり体制を整備すること。
- 専門の知的所有権保護執行部門設置を行うなど特別な資源を充てることにより知的所有権保護法の執行を強化し、法執行機関の間での越境協力を向上させること。
- 政府機関内でソフトウェア資産管理(SAM)政策を積極的に実施し、政府が率先してソフトウェアの適法使用を推進すること。また、あらゆる政府系機関、国有企業、コントラクターおよびサプライヤーによるソフトウェアの適法使用を奨励すること。
『PC用ソフトウェア違法コピーの減少による経済効果』報告書は、IDCのソフトウェア違法コピーインパクトモデルに基づいて作成されています。このモデルは、各国のIT支出およびソフトウェア違法コピーに関する市場調査、ならびにIT雇用およびIT関連の税についての情報を元に構成されています。今回調査の対象となった42か国は、パッケージソフトウェア市場全体の93%を占めています。またアジア・太平洋地域で調査対象となった13の国と地域は、アジア・太平洋地域におけるパッケージソフトウェア市場の98%を占めています。より詳細な情報、および調査方法の詳細な説明については、www.bsa.org/piracyimpact の報告書(全文)をご覧ください。
以上
(※1日本円は1US$=¥83で換算 2010年9月30日現在)
BSAについて
ビジネス ソフトウェア アライアンス(BSA)は、世界80カ所以上の国や地域でビジネスソフトウェア業界の継続的な成長と、安全で信頼できるデジタル社会の実現を目指して、政策提言・教育啓発・権利保護支援などの活動を展開している非営利団体です。BSAは急成長を遂げるビジネスソフトウェア 業界をリードする企業で構成されています。1988年の米国での設立以来、常に政府や国際市場に先駆け、世界のビジネスソフトウェア業界とそのハードウェア・パートナーの声を代表する組織として活動をつづけ、教育啓発、および著作権保護、サイバーセキュリティー、貿易、電子商取引を促進する政策的イニシアチブを通して技術革新の促進に努めています。BSAメンバーは、アドビシステムズ、アジレント・テクノロジー、アルティウム、アップル、AquaFold、ARM、Arphic Technology、オートデスク、Autoform、AVEVA、ベントレー・システムズ、CNC/Mastercam、コーレル、ダッソー・システムズ・ソリッドワークス・コーポレーション、マイクロソフト、Minitab、NedGraphics、オルボテック、PTC、プログレス ソフトウェア、クエスト・ソフトウェア、Scalable Software、シーメンス、サイベース、シマンテック、テクラ、およびマスワークスで構成されています。詳しくは、BSA日本ウェブサイトwww.bsa.or.jpまたは、BSA米国本部ウェブサイトwww.bsa.org/usa/(英語)をご覧ください。
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