リリース記事

■2010/5/11
2009年の国内違法コピー率は21%、
損害額は世界ワースト8位の約1700億円
〜 IDCによる「第7回 世界ソフトウェア違法コピー調査」の結果を発表 〜
- 損害総額は日本人の平均年収430万円の約4万人分に相当 -

ビジネス ソフトウェア アライアンス(本部:米国ワシントンDC、会長兼CEO:ロバート・ハリマン、以下BSA)は本日、2009年における全世界のコンピュータ・ソフトウェアの違法コピーによる被害状況をまとめた「第7回世界ソフトウェア違法コピー調査」の結果を発表しました。それによると、日本の違法コピー率は前年比変わらずの21%で世界2位(前年同)、損害額は厳しい雇用情勢が続く日本人の平均年収430万円*1のほぼ4万人分に相当する18.38億ドル(約1719億円*2)となり世界ワースト8位(前年ワースト10位)という結果でした。

「世界違法コピー調査」は、BSAが世界的なハイテク調査会社であるIDCに委託し毎年実施するもので、7回目を迎えた今回は、世界111ヶ国を対象に調査が行われました。

今回の結果を受けBSA日本担当事務局長の松尾早苗は、「日本における違法コピーの被害が改善されず、とりわけ損害額が世界で8番目に悪い不名誉な結果であったことは非常に残念です。1700億円という損害額はあくまでソフトウェア産業に対する直接的な損害を示したもので、周辺産業への影響までを考えた場合、日本経済への影響は計り知れません」と述べています。

全世界で見ると、違法コピー率が上昇した国19に対し低下した国が54と大きく上回った反面、違法コピー率の高い中国、インド、ブラジル等のソフトウェア・マーケットが急拡大したことで、違法コピー率は3年連続で上昇となる43%(前年比+2ポイント)、損害額は2010年内にEUとIMFがギリシャに融資をする計400億ユーロ(日本円換算約4兆8000億円)*3 にも匹敵する514億ドル(約4兆8000億円*2)という結果でした。

財団法人日本情報処理開発協会(JIPDEC) 情報マネジメント推進センター 副センター長の高取敏夫氏は今回の発表に際し、「昨年度、JIPDECではITサービスマネジメントの利活用の観点から、SAM導入ガイドを策定しました。特に、ソフトウェアの不正コピーやソフトウェアライセンスの不正利用などの法的問題は、企業・組織の姿勢そのものに疑念を持たれることになり、社会的な信用の失墜につながっています。今後もBSAのソフトウェア違法コピーに関する調査は、JIPDECにとっても非常に興味深いものとなるでしょう」とコメントを寄せています。

SAMの導入は、ソフトウェアの不正利用の防止とソフトウェア投資の最適化につながります。昨年、自治体によるソフトウェアの不正使用に関する報道が多数なされたことから、国内におけるソフトウェア資産管理(SAM)への気運は高まりつつあります。その一方で、BSAが開設している組織内違法コピーに関する情報提供窓口には、2007年より年間500件を超える多くの通報が寄せられており、そのほとんどの企業や組織ではSAMが導入されておりませんでした。BSAでは引き続きソフトウェアの著作権に関する意識啓発のほか、自治体および民間企業を対象としたSAM構築支援活動を積極的に行うことで、違法コピー率の改善および損害額の減少に貢献してまいります。

「第7回世界ソフトウェア違法コピー調査」の主要な結果は以下のとおりです。

  • 2008年に引き続き、低違法コピー率TOP3は米国、日本、ルクセンブルク
  • 90%超の高違法コピー率国は、グルジア、ジンバブエ、バングラディシュ、モルドバ
  • アジア地域の高違法コピー率国は、スリランカ、インドネシア、ベトナム、パキスタン
  • 世界の違法コピー率の上昇要因は、一般消費者のパソコン市場の急速な拡大と、既存パソコンへの非正規ソフトウェア・インストールの増加、違法行為およびサイバー犯罪の巧妙化と分析
  • 違法コピー被害の減少には、ソフトウェアメーカーによるリーガライゼーション(合法化)プログラム、政府や業界団体による教育啓発キャンペーン、権利執行支援活動の実施、そして企業内でデジタル著作権管理(DRM)やソフトウェア資産管理(SAM)の採用など、技術面での取組みが重要
高違法コピー率
上位10ヶ国
順位
1 グルジア 95%
2 ジンバブエ 92%
3 バングラディッシュ 91%
モルドバ 91%
4 アルメニア 90%
イエメン 90%
5 スリランカ 89%
6 アゼルバイジャン 88%
リビア 88%
7 ベラルーシ 87%
ベネズエラ 87%
8 インドネシア 86%
9 ベトナム 85%
ウクライナ 85%
イラク 85%
10 パキスタン 84%
アルジェリア 84%
 
低違法コピー率
上位10ヶ国
順位
1 米国 20%
2 日本 21%
ルクセンブルク 21%
3 ニュージーランド 22%
4 オーストラリア 25%
オーストリア 25%
ベルギー 25%
フィンランド 25%
スウェーデン 25%
スイス 25%
5 デンマーク 26%
6 英国 27%
7 ドイツ 28%
オランダ 28%
8 カナダ 29%
ノルウェー 29%
9 イスラエル 33%
10 アイルランド 35%
シンガポール 35%
南アフリカ 35%
 
高違法コピー損害額
上位20ヶ国 (単位:百万米ドル)
順位
1 米国 $8,390
2 中国 $7,583
3 ロシア $2,613
4 フランス $2,544
5 ブラジル $2,254
6 ドイツ $2,023
7 インド $2,003
8 日本 $1,838
9 イタリア $1,733
10 英国 $1,581
11 メキシコ $1,056
12 スペイン $1,014
13 カナダ $943
14 インドネシア $886
15 タイランド $694
16 ベネズエラ $685
17 アルゼンチン $645
18 韓国 $575
19 オーストラリア $550
20 オランダ $525

本調査は、デスクトップ、ラップトップ、ネットブックを含むウルトラポータブルなどのPC上で動作するすべてのパッケージソフトウェアを対象にしています。対象のソフトウェアには、オペレーティングシステム(OS)、データベースやセキュリティパッケージなどシステムソフトウェア、ビジネスアプリケーションや正規のフリーソフトウェア、オープン ソース ソフトウェアが含まれます。ただし、サーバや大型汎用機用で動作するソフトウェアはこの調査には含まれません。IDCは今回の調査のために、ソフトウェアおよびハードウェアの出荷数に関する独自の統計値を使用しています。また、60カ国以上に在住するIDCアナリストが、現地の市場状況を把握し、世界の違法コピー率を調査しています。

*1 国税庁「平成20年民間給与実態統計調査」より
*2 為替レートは1USD=93.52円で計算(2009年平均為替レート「財務省貿易統計webサイトより」)
*3 International Monetary Fund(IMF)2010年5月9日付 Press Release No.10/187より
為替レートは1ユーロ=119.67円で計算(2010年5月10日13時「Yahoo!ファイナンス-外国為替情報」より)

「世界ソフトウェア違法コピー調査」専用情報サイト

http://www.bsa.or.jp/press/related/2010_Global_Piracy_Studyj.html(日本語)

※各国のリリースは、www.bsa.org/globalstudy(BSA米国本部ウェブサイト)をご覧ください。

違法コピー率と損害額の算出方法

※詳しい算出方法に関しては、www.bsa.org/globalstudy上の解説ビデオ(英語)をご覧ください。

BSAについて

ビジネス ソフトウェア アライアンス(BSA)は、世界80カ所以上の国や地域でビジネスソフトウェア業界の継続的な成長と、安全で信頼できるデジタル社会の実現を目指して、政策提言・教育啓発・権利保護支援などの活動を展開している非営利団体です。BSAは急成長を遂げるビジネスソフトウェア 業界をリードする企業で構成されています。1988年の米国での設立以来、常に政府や国際市場に先駆け、世界のビジネスソフトウェア業界とそのハードウェア・パートナーの声を代表する組織として活動をつづけ、教育啓発、および著作権保護、サイバーセキュリティー、貿易、電子商取引を促進する政策的イニシアチブを通して技術革新の促進に努めています。BSAメンバーはアドビシステムズ, アジレント・テクノロジー, アルティウム, アップル, Aquafold, ARM, Arphic Technology, オートデスク, Autoform, AVEVA, ベントレー・システムズ, CNC/Mastercam, コーレル, ダッソー・システムズ・ソリッドワークス・コーポレーション, エンバカデロ・テクノロジーズ, Frontline PCB Solutions- An Orbotech Valor Company, マイクロソフト, Minitab, NedGraphics, Parametric Technology Corporation, Progress,クエスト・ソフトウェア, Scalable Software, シーメンスサイベース, シマンテック, テクラおよびマスワークスで構成されています。詳しくは、BSA日本ウェブサイトwww.bsa.or.jpまたは、BSA米国本部ウェブサイトwww.bsa.org/usa/(英語)をご覧ください。

IDC について

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