リリース記事

■2009/7/16
BSAメンバー、石川県と総額約4千万円で和解
〜 再発防止に向け、職員の教育、指導、規律徹底等で最善の努力を約束 〜

安全で信頼できるデジタル社会の実現を推進するビジネス ソフトウェア アライアンス(本部:米国ワシントンDC、会長:ロバート・ハリマン、以下BSA)は本日、BSAメンバー企業と石川県との間におけるビジネスソフトウェアの著作権侵害に関し、7月13日付で総額40,367,385円とする和解が成立したと発表しました。

本件は、BSAが組織内違法コピー撲滅のため開設している情報提供窓口への通報が端緒となり発覚したもので、2008年2月に権利者であるBSAメンバー企業が石川県に対し、県庁内で使用されているビジネスソフトウェアの不正利用の可能性を指摘していたものです。指摘後の内部調査の過程で、Photoshop®やMicrosoft® Office、AutoCAD®等のソフトウェアの違法コピーが石川県庁本庁舎知事部局等で発見されたため、権利者であるアドビ システムズ インコーポレイテッド(以下アドビ)、オートデスク インク(以下オートデスク)、マイクロソフト コーポレーション(以下マイクロソフト)の代理人が石川県との間で問題解決に向けた協議を重ねておりました。

BSA日本担当事務局長の松尾早苗は、「県政を司る本庁舎内で大量のソフトウェアの著作権侵害が行われていたことは非常に残念です。都道府県をはじめとするパブリックセクター(注1)の多くは、一元的な管理を行いにくい組織形態であり、また学校や病院等、様々な施設や機関を抱えているため、"気づきにくい不正" である組織内違法コピーに対しては民間企業以上に注意を払う必要があります。このような不正を未然に防ぐためにも、本年のBSAの基本方針のひとつ、"パブリックセクターにおけるソフトウェア資産管理(SAM)の普及強化"を、今後さらに積極化していきます」と語っています。

BSAに通報されたソフトウェアの組織内違法コピーは、2003年の178件から、2008年には3倍増を超える544件へと急激な増加を見せています。世界的な景気低迷が続く中BSAでは、経費節減を理由とした組織内での違法コピー増加を警戒し、組織内違法コピーの実態と過去の通報経験者の体験談などをまとめた情報サイト「違法告発.com(http://145982.com)」を通じて不正防止を呼びかけています。

本件に関する一部報道を受け、総務省自治行政局地域情報政策室は、各都道府県情報政策担当課および各都道府県市区町村担当課に対し6月15日付で、「コンピュータソフトウェア資産管理の徹底について」と題した事務連絡を通じて、各都道府県内におけるソフトウェア資産管理の徹底を呼びかけており、パブリックセクターにおいてソフトウェア資産管理徹底の必要性に関する認知が進むものと期待しております。

なお、石川県は今回の和解で、ソフトウェアの違法コピーを行わないことを約束した他、職員が違法コピーを行ったり利用したりしないよう、教育、指導、規律の徹底等で最善の努力をすることを約束しており、今後は、本庁舎の他、学校・病院等を含む全ての県の機関においてソフトウェア資産管理をすることが期待されます。

BSAでは、「違法告発.com」や「情報提供窓口」の運営を通じて、引き続きメンバー企業の権利行使の支援のみならず、正規ユーザーの保護、違法コピーの利用を強いられている方々の環境改善を支援してまいります。

(注1) パブリックセクターとは、中央省庁と地方公共団体、およびそれらの外郭団体と、独立行政法人、国立大学法人、地方独立行政法人、学校法人等を意味します。

組織内違法コピーについて

企業や学校、病院など複数のコンピュータでソフトウェアを使う組織内における違法コピーが「組織内違法コピー」であり、現在日本でもっとも多く見られる違法コピー形態でもあります。例えば、1台のコンピュータでのみ使用することが許諾されたソフトウェアのパッケージを入手して複数のコンピュータにインストールするような場合がこれに該当します。

違法告発.comについて

「違法告発.com」(www.145982.com)は、組織内違法コピーの実態と情報提供の安全性等を広く訴求することを目的にしたマイクロサイト。過去の通報案件をヒントに組織内違法コピーの手口を読み切り漫画で紹介する「違法コピーのある風景」、BSA日本担当顧問が情報提供の安全性やポイントをお答えする「BSAへの情報提供が安心な4つの理由」、違法コピーの通報経験者へのアンケートを基に、通報から違法コピー状態の改善までの貴重な体験談まとめた「私が決断した理由」の、3つのコンテンツで構成されています。

BSAについて

ビジネス ソフトウェア アライアンス(BSA)は、世界80カ所以上の国や地域でビジネスソフトウェア業界の継続的な成長と、安全で信頼できるデジタル社会の実現を目指して、政策提言・教育啓発・権利保護支援などの活動を展開している非営利団体です。BSAは急成長を遂げるビジネスソフトウェア 業界をリードする企業で構成されています。1988年の米国での設立以来、常に政府や国際市場に先駆け、世界のビジネスソフトウェア業界とそのハードウェア・パートナーの声を代表する組織として活動をつづけ、教育啓発、および著作権保護、サイバーセキュリティー、貿易、電子商取引を促進する政策的イニシアチブを通して技術革新の促進に努めています。BSAワールドワイド・メンバーにはアドビ システムズ, アップル, オートデスク, ベントレー・システムズ, コーレル, サイバーリンク, Dassault Systemes SolidWorks Corporation, Embarcadero, マカフィー, マイクロソフト, Minitab, NedGraphics, PTC, クォーク, クエスト・ソフトウェア, ロゼッタストーン, シーメンス, サイベース, シマンテックおよびThe MathWorks が加盟し活動を行なっています。また、アジア太平洋地域ではアジレント・テクノロジー, アルティウム, Frontline PCB Solutions- An Orbotech Valor Company, Mindjet, SPSS, テクラ およびトレンドマイクロ がそれぞれ活動に参加しています。詳しくは、BSA日本ウェブサイトwww.bsa.or.jpまたは、BSA米国本部ウェブサイトwww.bsa.org/usa/(英語)をご覧ください。

<参考資料>

BSA(日本)への情報提供件数推移

業界別情報提供件数ワースト3(2008年)

ビジネスソフトの著作権侵害に関する和解額ワースト5