■2009/5/12
BSA、2008年のソフトウェア違法コピー調査の結果を発表
日本の違法コピー率は21%、損害額は約1700億円
−全世界の違法コピー率は2年連続3ポイント上昇の41%、損害額は530億ドル−
ビジネス ソフトウェア アライアンス(本部:米国ワシントンDC、会長兼CEO:ロバート・ハリマン、以下BSA)は5月12日、全世界および各国・地域における2008年1月〜12月のコンピュータ・ソフトウェアの違法コピー状況を調査した「第6回世界ソフトウェア違法コピー調査」の結果を発表しました。
同調査はBSAの委託によりハイテク調査会社のIDCが実施したもので、これによると日本における2008年の違法コピー率は前年比2ポイント減の21%と世界で2番目(前年4番目)に低かったものの、同損害額は約14.95億ドル(約1700億円*)と世界ワースト10位(前年8位)という結果でした。一方、全世界の違法コピー率は、調査対象110カ国のうち16カ国で上昇したのに対し57カ国で低下と、低下した国の数が大きく上回りましたが、高違法コピー率国の急激なPC出荷の拡大により、全世界の違法コピー率は2年連続して3ポイント増の41%、同損害額は対前年比11%上昇の約530億ドル(6兆2500億円*)という結果になりました。
今回の結果についてBSA日本担当事務局長の松尾早苗は、「法制度の整備やコンプライアンス意識の高まりにより、ここ数年間、違法コピー率が低下していることは非常に喜ばしいことです。しかし、損害額は依然として高い水準を維持しており、決して看過できない状態です」と述べています。
不正商品排除・撲滅に向けた広報・啓発活動を行う不正商品対策協議会(ACA)事務局長の後藤健郎氏は、「違法コピーによるソフトウェアの被害状況が世界規模で把握できるこの調査は、ACAにとっても非常に興味深いものです。ソフトウェアを含む知的財産権の侵害や不正商品の流通の手口は年々巧妙化かつ潜在化しているのが現状です。ACAは、無形の財産である知的財産保護のため、引き続きBSAと緊密に連携しながら対策を行っていきます」と述べています。
BSAが開設している組織内違法コピーに関する情報提供窓口への通報は、2003年の178件から2008年には約3倍の544件となるなど増加の一途を辿っています。これは個人のコンプライアンス意識の高まりと、ソフトウェアの著作権に対する理解が浸透してきたためと考えられますが、実際には通報に至るのは一部であり、多くの場合は通報まで至らず違法コピーが放置されているのが現状です。この状況に対応するため、BSAでは組織内違法コピーの実態と通報体験談を掲載した情報サイト「違法告発.com」を本年1月29日に開設し、通報行為への不安払拭に努めています。
また、ITコストの削減および適正なソフトウェア管理を実現する「ソフトウェア資産管理(SAM:Software Asset Management)」に関する情報提供を目的にした「企業向けソフトウェア管理支援ポータル」を開設し、SAMの普及・啓発を推進しております。
BSAは、今後も違法コピー状況の改善ならびに予防への取組みを展開していくとともに、消費者保護への活動を推進していきます。
主要な調査結果
(単位:百万米ドル)
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本調査は、デスクトップ、ラップトップ、ウルトラポータブルなどのPC上で動作するすべてのパッケージソフトウェアを対象にしています。サーバや大型汎用機用ソフトウェアなどのソフトウェアやSaaSはこの調査には含まれません。IDCは今回の調査のために、ソフトウェアおよびハードウェアの出荷数に関する独自の統計値を使用し、また、110カ国以上に在住する1000人以上のIDCアナリストの協力を得てソフトウェア違法コピーの傾向を確認しました。
*為替レートは1USD=117.93円で計算(2007年平均為替レート「財務省貿易統計webサイトより」)
本調査の詳細やコピーの入手方法については、BSA日本ウェブサイト、および、BSA米国本部ウェブサイトをご覧ください。
違法コピー率の算出方法
違法コピー率は、「当該年度PCソフトウェア違法コピー数」を「当該年度にインストールされたPCソフトウェア総数」で割った百分率として算出しています。上記、違法コピー数は、「当該年度にインストールされたPCパッケージソフトウェア総数」と「該当年度に正規に購入されたPCパッケージソフトウェアの本数」との差によって求められます。
BSAについて
ビジネス ソフトウェア アライアンス(BSA)は、世界80カ所以上の国や地域でビジネスソフトウェア業界の継続的な成長と、安全で信頼できるデジタル社会の実現を目指して、政策提言・教育啓発・権利保護支援などの活動を展開している非営利団体です。BSAは急成長を遂げるビジネスソフトウェア 業界をリードする企業で構成されています。1988年の米国での設立以来、常に政府や国際市場に先駆け、世界のビジネスソフトウェア業界とそのハードウェア・パートナーの声を代表する組織として活動をつづけ、教育啓発、および著作権保護、サイバーセキュリティー、貿易、電子商取引を促進する政策的イニシアチブを通して技術革新の促進に努めています。BSAワールドワイド・メンバーにはアドビ システムズ, アップル, オートデスク, ベントレー・システムズ, コーレル, サイバーリンク, Dassault Systemes SolidWorks Corporation, Embarcadero, マカフィー, マイクロソフト, Minitab, NedGraphics, PTC, クォーク, クエスト・ソフトウェア, ロゼッタストーン, シーメンス, サイベース, シマンテックおよびThe MathWorks が加盟し活動を行なっています。また、アジア太平洋地域ではアジレント・テクノロジー, アルティウム, Frontline PCB Solutions- An Orbotech Valor Company, Mindjet, SPSS, テクラ およびトレンドマイクロ がそれぞれ活動に参加しています。詳しくは、BSA日本ウェブサイトwww.bsa.or.jpまたは、BSA米国本部ウェブサイトwww.bsa.org/usa/(英語)をご覧ください。
IDC について
IDCは、市況情報、アドバイザリーサービス、情報技術市場、通信市場、およびコンシューマ技術市場に関するイベントを提供するグローバル・プロバイダの最大手です。 IT専門家や企業の経営幹部、投資関連各社が技術購入やビジネス戦略を決定する際のサポートをしています。1,000人を超えるIDCのアナリストが、世界全体、各国、および各地域の技術と市場機会に関する専門知識とともに、110カ国を超える国々のトレンドを提供します。IDCは、44年余りの間、戦略的な見識を提供して、クライアントがその主要な経営目的を達成できるようサポートし続けています。IDCは、世界有数の技術メディア、リサーチ、イベント企業であるIDGの子会社です。IDCのさらなる詳細については、www.idc.comをご覧ください。
違法告発.com(145982(イホウコクハツ).com)について
「違法告発.com」は、組織内違法コピーの実態と情報提供の安全性等を広く訴求することを目的に、3つの主要コンテンツで構成された情報サイトです。
主要コンテンツ1「違法コピーのある風景」
BSAに通報された案件をヒントに、組織内違法コピーがどのように行われているかを読み切り漫画で紹介したコンテンツ
主要コンテンツ2「BSAへの情報提供が安心な4つの理由」
BSAの日本担当顧問が、「なぜBSAに情報提供してもらっても安心か?」を4つのポイントでお答えするコンテンツ
主要コンテンツ3「私が決断した理由」 ※近日公開予定
BSAへの通報経験者へのアンケートをベースに、通報から違法コピー状態の改善までの間の貴重な体験をまとめたコンテンツ
企業向けソフトウェア資産管理ポータルについて
「企業向けソフトウェア管理支援ポータル」は、ソフトウェアがビジネスに不可欠になった現在において、経営者やソフトウェア管理者向けに、組織内のソフトウェア資産管理未導入におけるリスクから、導入・体制構築にかかわる様々な情報や支援プログラムを提供するサイトです。