リリース記事

■2008/2/5
BSA、日本のPC用ソフトウェアの違法コピー率10%減少による
経済効果は、4年間で約9,790億円*(89億ドル)に達すると発表

ビジネス ソフトウェア アライアンス(本部:米国ワシントンDC、会長兼CEO:ロバート・ハリマン、以下BSA)は本日、日本のPC用ソフトウェアの違法コピー率を低下させることで得られる経済効果をまとめた調査資料「2008年IDC世界違法コピー経済効果調査」(日本版)を発表した。

同調査はBSAが世界的なハイテク調査会社のインターナショナルデーターコーポレイション(International Data Corporation 、以下IDC)に委託したもので、これによると、2008年から2011年までの4年間、現在25%である日本の違法コピー率が10%低下した場合、1万2,400人の新たな雇用を創出するとともに、89億ドル(約9,790億円*)のGDP浮揚効果、さらには20億ドル(約2,200億円*)の税収増が見込まれるとまとめている。

今回の結果についてBSA日本事務局長の竹下千恵は、「調査によると、昨年、日本ではITにGDPの2.4%にあたる約1,060億ドル(約11兆6,600億円*)もの多額の資金が投入され、IT関連税収1,160億ドル(約12兆7,600億円*)の創出を促したそうです。しかし、PC用ソフトウェア違法コピー率の低減を実現すれば、IT産業が創出する新規雇用やビジネス機会と税収、そして経済成長の活性化に貢献できることが明らかになりました。BSAは、引き続きソフトウェアの違法コピー問題に取り組んでまいります」と、述べている。

アジア・太平洋地域

違法コピー率が高いアジアでは、今後4年間のうちにソフトウェアの違法コピー率がわずか10%低下するだけで、43万5,000人の新たな雇用の創出、400億米ドル超分の経済成長の加速化、現在の予測値を50億米ドル超上回る税収が見込まれている。

調査によると、情報技術(IT)産業がすでにアジア経済圏に大きく寄与している点に留意している。2007年、アジア経済圏では、コンピュータ、コンピュータ周辺機器、ネットワーク装置、パッケージ ソフトウェア、ITサービスなど、IT関連商品やITサービスに2,310億ドルが投入された。この支出額は、550万人のIT産業従事者を抱える34万8,000社を超えるIT企業を支えたのに加え、IT関連の税収1,670億ドルの創出を促した。

しかし、今回の調査では、アジア地域のPC用ソフトウェアの違法コピー率を2011年までに10%低下させることができれば、アジア経済に対するITセクターの寄与をさらに高めることができると見ている。この寄与の増大によって、高度な技術を要する求人が増加し、新会社の設立が促進され、ビジネスリスクが減少し、増税しなくても公益事業に資金が流入すると見込まれている。

さらには、ソフトウェア違法コピーの減少は「相乗効果」をももたらす。IDCによれば、正規版パッケージ ソフトウェアに1ドルが投入されるたびに、ソフトウェアのインストール、人材の育成、メンテナンス サービスの提供といったローカル ベンダによる関連サービスに対し、新たに1.25ドルが投入されることになる。

BSA副会長兼アジア太平洋地域責任者のジェフリー・J・ハーディーは、「PC10億台超というインストールを誇るグローバルマーケットでは、アジア太平洋地域のITセクター1部門のみの成長によってすでに、アジア太平洋地域の経済に大きな利益がもたらされていることは容易に理解できます。しかし、2006年にアジア太平洋地域で導入されたPC用ソフトウェアの推定額210億ドルのうち、116億ドルは違法コピーによるものとされています。今回の調査では、今後4年間のうちにPC用ソフトウェアの違法コピー率が10%低下すると、アジア太平洋地域は非常に大きな経済メリットを受けることが明白に示されています」と、述べている。

中国やロシアのように、違法コピー率の高い国ほど効果は甚大に

さらに、今回の調査では、新興経済国で違法コピーが減少することによって世界のIT構図が驚くほど変化する可能性のあることが明らかになっている。

例えば、中国の82%というPC用ソフトウェア違法コピー率が10%低下すると、中国のIT労働力は4年以内に世界最大規模になり、米国のIT労働者人口を上回る可能性がある。中国のIT雇用者数は、現在の予想を上回り35万5,000人増加すると思われ、2011年までには中国の総IT雇用数は350万人近くに達すると思われる。雇用数の増加によって、IT支出の年間伸び率も、2008年〜2011年の間に10.3%から13.7%に上昇することが見込まれる。

同様に、ロシアの80%というPC用ソフトウェア違法コピー率が10%低下すると、ロシアのITセクターの規模は4年以内にインドのITセクターを上回り、IT市場の成長速度という点で世界のトップスリーに名を連ねる可能性がある。ロシアのITセクターでは、ソフトウェア違法コピーの減少によって、IT支出の年間伸び率が2008年〜2011年の間に14.6%から18.2%に上昇し、IT支出額は2011年までに339億米ドルに及ぶと思われる。

「違法コピーの減少によって、国内ITセクターが強化されるとともに、国家全体としてもさらに強固な経済と社会を得られるという点で、違法コピー率が平均以上の国は最大級の恩恵を得られる状態にあるという確かな根拠をIDCのデータは示してくれています」とハーディーは述べている。

同調査の調査概要、および、分析結果「PC用ソフトウェアの違法コピー率減少による経済効果」(日本の要約データ)は、BSAウェブサイト www.bsa.or.jp を参照。

*為替レートは1ドル=110円で計算。

BSAについて

ビジネス ソフトウェア アライアンス(BSA)は、世界80カ所以上の国や地域でビジネスソフトウェア業界の継続的な成長と、安全で信頼できるデジタル社会の実現を目指して、政策提言・教育啓発・権利保護支援などの活動を展開している非営利団体。BSAは急成長を遂げるビジネスソフトウェア 業界をリードする企業で構成されている。1988年の米国での設立以来、常に政府や国際市場に先駆け、世界のビジネスソフトウェア業界とそのハードウェア・パートナーの声を代表する組織として活動をつづけている。BSAのメンバーにはアドビシステムズ, アジレント・テクノロジー, アルティウム, アップル, オートデスク, アビッドテクノロジー, BEAシステムズ, ベントレー・システムズ, ボーランド, CA, ケイデンス・デザイン・システムズ, シスコシステムズ, CNC Software/Mastercam, コーレル, デル, EMC, エントラスト, Frontline PCB Solutions- An Orbotech Valor Company, HP, IBM, インテル, アイナステクノロジー, マカフィー, マイクロソフト, Mindjet, Minitab, Monotype Imaging, PTC, クォーク, Quest Software, SAP, シーメンスPLMソフトウェア, ソリッドワークス, SPSS, サイベース, シマンテック, シノプシス, テクラ, The MathWorks およびトレンドマイクロ が加盟し活動を行なっている。詳しくは、BSA日本ウェブサイトwww.bsa.or.jpまたは、BSA米国本部ウェブサイトwww.bsa.org/usa/(英語)をご覧ください。

IDCについて

インターナショナルデーターコーポレイション(IDC)は、IT・テレコム産業向けにマーケット情報や顧問サービス、各種イベントを提供するグローバル・プロバイダの最大手。IT専門家や企業の経営幹部、投資関連各社が技術購入やビジネス戦略を決定する際のサポートをしている。世界90カ国、900名以上のアナリストが世界、地域、各国の視点からテクノロジーや市場の好機、トレンドに関する専門知識を提供。43年以上にわたって、クライアント各社が主要なビジネス目標を達成する際に役立つ戦略的な識見を提供している。IDCは、世界をリードするテクノロジー・メディアでありリサーチ、イベント会社である、IDGの子会社。詳細はウェブサイトwww.idc.comを参照。

2008年IDC違法コピー経済効果調査(日本)