リリース記事

■2007/12/25
大阪地裁、パッケージソフト会社に証拠保全を実施

安全で信頼できるデジタル社会の実現を推進するビジネス ソフトウェア アライアンス(BSA、本部:米国ワシントンDC、会長:ロバート・ハリマン)は、BSAメンバー企業であるマイクロソフト コーポレーション(以下マイクロソフト)の申し立てに基づき、大阪地方裁判所が2007年6月15日、大阪府のパッケージソフト会社(以下A会社)に対し、著作権侵害の疑いがあるとして証拠保全手続きを実施したと発表いたしました。この証拠保全は、BSAが組織内違法コピー問題解決のために設置している情報提供窓口(フリーダイヤル、Eメール、BSAホームページ)への情報に基づいて行われたものです。

証拠保全は一般的に、訴訟において申立人側の請求を立証するための証拠が相手側にあり、その証拠を廃棄、隠匿、または滅失等のおそれがあると裁判所が判断した場合に、裁判所が主体となって実施するものです。今回の証拠保全は、一般から情報提供窓口に提供された複数の詳細情報に基づき、マイクロソフトが2007年5月18日に関係証拠を付して申立を行い、裁判所がこの申立を認め実施されたものです。

ソフトウェアの違法コピーは、新たな良質のソフトウェアの開発を阻害しソフトウェア産業の成長を鈍らせるだけでなく、安全で信頼できるデジタル社会実現の大きな疎外要因でもあり、その防止のためにソフトウェアメーカーが拠出する費用負担は決して小さくないのが実情です。

BSAでは、著作権に関わる法整備支援を目的とした政策提言活動や、ライセンス管理に関するセミナーや各種資料の配布、BSAホームページでの情報発信といった「違法状態の解消」のための教育啓発活動を積極的に行っておりますが、著作権者の権利保護および正規のソフトウェア・ユーザーを保護する意味でも、組織内違法コピーに対しては、引き続き法的手続きも視野に入れ、BSAメンバー企業に対し積極的に支援を行ってまいります。

証拠保全について

裁判所による証拠保全手続きは、証拠の散逸、隠蔽を防ぐために行われる訴訟前の手続きであり、通常外部からは実態を把握しきれない組織内違法コピーの確固たる証拠を入手するためには、大変有効な手段であるといえます。今回のケースを含め、組織内違法コピーに関する裁判所による証拠保全手続きの件数は、依然として減少していません。

組織内違法コピーについて

企業や学校、病院など複数のコンピュータでソフトウェアを使う組織内における違法コピーが「組織内違法コピー」であり、現在日本でもっとも多く見られる違法コピー形態でもあります。例えば、1台のコンピュータでのみ使用することが許諾されたソフトウェアのパッケージを入手して複数のコンピュータにインストールするような場合がこれに該当します。

BSAについて

ビジネス ソフトウェア アライアンス(BSA)は、世界80カ所以上の国や地域でビジネスソフトウェア業界の継続的な成長と、安全で信頼できるデジタル社会の実現を目指して、政策提言・教育啓発・権利保護支援などの活動を展開している非営利団体です。BSAは急成長を遂げるビジネスソフトウェア 業界をリードする企業で構成されています。1988年の米国での設立以来、常に政府や国際市場に先駆け、世界のビジネスソフトウェア業界とそのハードウェア・パートナーの声を代表する組織として活動をつづけています。BSAワールドワイド・メンバーにはアドビシステムズ, アップル, オートデスク, アビッドテクノロジー, ベントレー・システムズ, ボーランド, CNC Software/Mastercam, マカフィー, マイクロソフト, Monotype Imaging, PTC, シーメンスPLMソフトウェア, ソリッドワークス, サイベース, シマンテック, The MathWorks が加盟し活動を行なっています。また、アジア太平洋地域ではアジレント・テクノロジー, アルティウム, BEAシステムズ, Breault Research Organization, Frontline PCB Solutions- An Orbotech Valor Company, アイナステクノロジー, Mindjet, Minitab, SPSS, テクラおよびトレンドマイクロ がそれぞれ活動に参加しています。 詳しくは、BSA日本ウェブサイトwww.bsa.or.jpまたは、BSA米国本部ウェブサイトwww.bsa.org/usa/(英語)をご覧ください。

参考資料

過去の組織内違法コピー事件(民事訴訟)
組織内違法コピーに関する国内の判例は以下の2件です。

  判例1 判例2
判決時期 : 2001年5月(和解済) 2003年10月 
被告 : 大手司法試験予備校 PCスクール経営会社
原告 : ・米アップル・コンピュータ
・米アドビシステムズ
・米マイクロソフト
・米アドビシステムズ
・米クォークインク
・米マイクロソフト
侵害状況: 違法コピーしたソフトウェアを予備校業務に使用 違法コピーしたソフトウェアをPCスクール業務に使用
裁判所: 東京地方裁判所 大阪地方裁判所
判決のポイント: ソフトウェアの組織内不正コピーによる著作権侵害を認める初の判決 法人責任に加え、国内で初めて代表取締役の個人責任を認めた判決
損害賠償金: 約8,500万円 約4,000万円

BSA情報提供窓口(日本)への通報件数推移
(フリーダイヤル、Eメール、ホームページ)

項目 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年
情報提供数 157 178 203 345 376

2006年業界別情報提供数上位

順位 1位 2位 3位
業界 ソフトウェア業界 広告・出版業界 印刷業界
件数 88件 27件 18件

違法コピーによる被害状況(出典 BSA/IDC世界違法コピー率調査、2007年5月発表)

項目 日本 全世界
2005年 2006年 2005年 2006年
違法コピー率 28% 25% 35% 35%
損害額 約1,800億円 約2,100億円 約340億ドル 約395億ドル

2006〜2009年までの4年間で日本の違法コピー率が10%低下した場合の経済効果
(出典 BSA/IDC 世界経済効果調査、2005年12月発表)

項目 日本 全世界
GDP浮揚効果 2兆8,800億円 4,000億米ドル
雇用創出数 35,000人 2,400,000人
税収効果 4,800億円 670億米ドル