■2007/12/12
BSAメンバー、ソフトウェア受託開発会社と和解
〜和解総額は国内過去3番目に高額となる約1億4千万円〜
安全で信頼できるデジタル社会の実現を推進するビジネス ソフトウェア アライアンス(本部:米国ワシントンDC、会長:ロバート・ハリマン、以下BSA)はこのたび、BSAメンバー企業と首都圏のソフトウェア受託開発会社(以下A社)との間でビジネスソフトウェアの著作権侵害に関する和解が成立したことを発表しました。
本件は、BSAが組織内違法コピーの問題解決のために設置している情報提供窓口への通報が端緒となり発覚したもので、権利者であるオートデスク インク(以下オートデスク)、マイクロソフト コーポレーション(以下マイクロソフト)およびシマンテック コーポレーション(以下シマンテック)のBSAメンバー企業三社とA社との間での協議を経て、今回和解が成立したものです。
本件の調査過程では2,779本ものビジネスソフトウェアの違法コピーが発覚し、これに伴う和解総額は約1億4千万円(1億3,760万5,950円)にのぼりました。この和解額は、BSAメンバー企業のビジネスソフトウェアの組織内違法コピーに関連する日本国内での和解案件の中で過去3番目に高額なものです。
ソフトウェア関連業界における組織内違法コピーは以前より指摘されており、2006年にBSAの情報提供窓口に通報された376件の情報数のうち最多となる88件(23%)の通報は同業界を対象としたものでした。こうした現状を踏まえ、BSAでは今期、同業界の現状改善を目的に、ソフトウェア企業への個別訪問活動や全国主要都市で企業経営層を対象としたセミナーなど意識啓発活動を積極的に実施しておりました。
今回の和解についてBSA日本事務局長の竹下千恵は、「本来、知的財産を創造側であり尊重すべき立場のソフトウェア開発会社が、第三者の知的財産を侵害していたことは大変遺憾です」と述べています。
近年の組織内違法コピーによる和解の傾向としては、企業規模を問わず、従業員規模が200名以下の中堅・中小企業であっても和解額が約4千万円を超えるなど、違法コピーを漫然と放置することが重大な経営リスクに発展することが浮き彫りになっています。
BSAでは、違法コピーが潜在的な経営リスクであると考え、その予防のため著作権に関わる政策提言活動、ライセンス管理に関するセミナーや各種資料の配布、BSAホームページでの情報発信といった教育啓発活動を積極的に行う一方、意図的な組織内違法コピーに対しては、正規のソフトウェア利用者保護および著作権者の権利保護のために、引き続き法的手続きも視野に入れた権利保護支援活動を行ってまいります。
組織内違法コピーについて
企業や学校、病院など複数のコンピュータでソフトウェアを使う組織内における違法コピーが「組織内違法コピー」であり、現在日本でもっとも多く見られる違法コピー形態でもあります。例えば、1台のコンピュータでのみ使用することが許諾されたソフトウェアのパッケージを入手して複数のコンピュータにインストールするような場合がこれに該当します。
BSAについて
ビジネス ソフトウェア アライアンス(BSA)は、世界80カ所以上の国や地域でビジネスソフトウェア業界の継続的な成長と、安全で信頼できるデジタル社会の実現を目指して、政策提言・教育啓発・権利保護支援などの活動を展開している非営利団体です。BSAは急成長を遂げるビジネスソフトウェア 業界をリードする企業で構成されています。1988年の米国での設立以来、常に政府や国際市場に先駆け、世界のビジネスソフトウェア業界とそのハードウェア・パートナーの声を代表する組織として活動をつづけています。BSAワールドワイド・メンバーにはアドビシステムズ, アップル, オートデスク, アビッドテクノロジー, ベントレー・システムズ, ボーランド, CNC Software/Mastercam, マカフィー, マイクロソフト, Monotype Imaging, PTC, シーメンスPLMソフトウェア, ソリッドワークス, サイベース, シマンテック, The MathWorks が加盟し活動を行なっています。また、アジア太平洋地域ではアジレント・テクノロジー, アルティウム, BEAシステムズ, Breault Research Organization, Frontline PCB Solutions- An Orbotech Valor Company, アイナステクノロジー, Mindjet, Minitab, SPSS, テクラおよびトレンドマイクロ がそれぞれ活動に参加しています。 詳しくは、BSA日本ウェブサイトwww.bsa.or.jpまたは、BSA米国本部ウェブサイトwww.bsa.org/usa/(英語)をご覧ください。
<添付資料>
著作権侵害に関する和解額ワースト5
〜ビジネスソフトウェアの場合〜
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | |
和解金額 | 約1億8千万円 | 約1億5千万円 | 約1億4千万円 | 約1億2千万円 | 約1億2千万円 |
著作権侵害に関する和解額ワースト5
〜中小企業(従業員200名以下)の場合〜
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | |
和解金額 | 約4千6百万円 | 約4千2百万円 | 約3千9百万円 | 約3千6百万円 | 約3千5百万円 |
従業員数 | 60名 | 50名 | 100名 | 30名 | 90名 |
BSA情報提供窓口(日本)への通報件数推移
(フリーダイヤル、Eメール、ホームページ)
項目 | 2002年 | 2003年 | 2004年 | 2005年 | 2006年 |
---|---|---|---|---|---|
情報提供数 | 157 | 178 | 203 | 345 | 376 |
2006年業界別情報提供数上位
順位 | 1位 | 2位 | 3位 |
---|---|---|---|
業界 | ソフトウェア業界 | 広告・出版業界 | 印刷業界 |
件数 | 88件 | 27件 | 18件 |
違法コピーによる被害状況(出典 BSA/IDC世界違法コピー率調査、2007年5月発表)
項目 | 日本 | 全世界 | ||
2005年 | 2006年 | 2005年 | 2006年 | |
違法コピー率 | 28% | 25% | 35% | 35% |
損害額 | 約1,800億円 | 約2,100億円 | 約340億ドル | 約395億ドル |
2006〜2009年までの4年間で日本の違法コピー率が10%低下した場合の経済効果
(出典 BSA/IDC 世界経済効果調査、2005年12月発表)
項目 | 日本 | 全世界 |
GDP浮揚効果 | 2兆8,800億円 | 4,000億米ドル |
雇用創出数 | 35,000人 | 2,400,000人 |
税収効果 | 4,800億円 | 670億米ドル |