リリース記事

■2006/06/19
政府機関での正規ソフトウェア使用を呼びかけるAPECの取り組みを歓迎

安全で信頼できるデジタル社会の実現を推進するビジネス ソフトウェア アライアンス(BSA)は本日、アジア太平洋経済協力(APEC)の参加国・地域に対して、このたび終了した第12回APEC貿易担当大臣会合(MRT:ベトナム・ホーチミン市にて2006年6月1〜2日開催)成功への祝意を表明しました。

世界貿易の50%を占める加盟21カ国・地域を代表して、議長を務めたベトナム社会主義共和国のチュオン・ディン・トゥエン貿易大臣による閉会声明では、 WTOのドーハラウンドにおける歴史的な合意に向かって、各貿易担当大臣が取り組んでいくことが表明されました。本会合は、APEC の2006年テーマ「持続可能な成長と繁栄のための躍動的なコミュニティーに向けて」を掲げて開催されたものです。

ジェフリー・ハーディーBSAアジア地域担当副会長は、次のように評価しています。「APECの将来へのビジョンの一環として、参加閣僚の方々によって知的財産権保護と執行を強化する必要性が討議されたことを、大変喜ばしく思っています。この討議で高く評価できる点として、特にインターネット使用に関係する場合に、政府機関が自己のコンピューターネットワーク上で違法なソフトウェアやその他の違法コンテンツを使用すべきでないという基本方針を、APECの主要メンバーが支持することが参加閣僚によって推奨されたことが挙げられます。この動きは画期的なものであり、インターネット上の違法ファイル共有問題の拡大に対して、APECが率先して取り組む助けとなることが期待されます。」

議長声明における知的財産権関連の取り組みに関する概要は、以下のとおりです。

  1. 模倣品・海賊版の取引がビジネスに深刻な悪影響を与え、地域の投資や改革、経済発展を阻害する場合があることの認識。知的財産権保護に関する適切な法的体制と取り締まりシステム導入について、APECが重要な役割を継続して担い、参加国・地域を支援することが推奨されました。さらに参加国・地域が、模倣品・海賊版取引やオンライン海賊版を削減し、連携体制・対応能力強化を図るための具体的な対策を講じることが勧告されています。

  2. APEC模倣品・海賊版対策イニシアティブ活動について、2領域での更なる体制作りの推奨。サプライチェーンから模倣品・海賊版をなくすための取り組み、および知的財産権を効果的に公衆に周知するキャンペーンのモデルガイドライン。

  3. APEC 模倣品・海賊版対策イニシアティブへのサポート:特にインターネット使用に関係する場合に、政府機関が自己のコンピューターシステムやネットワークにおいて、違法のソフトウェアやその他の違法コンテンツを使用しない旨を2006年首脳宣言に織り込むことが、参加閣僚によって推奨されました。

  4. 参加13カ国・地域における知的財産権サービスセンター設立の歓迎、および残りの参加国・地域に対する早急のセンター設立の推奨。

  5. 加盟国・地域の知的財産権ウェブサイト、知的財産権担当窓口、知的財産権執行機関に関する情報交換の進捗の歓迎。2006年11月のAPEC閣僚会合および首脳会合において、「APEC光ディスクの生産関連規制のための効果的な慣行」適用に向けて次の段階への大綱が定められることに、参加閣僚たちは期待を寄せています。

  6. 「模倣品・海賊版取引の削減、不正な複製の防止、インターネット上の模倣品・海賊版販売の防止に関するAPECモデルガイドライン」について、モデルガイドライン実施に関する実績や成功例の共有を含め、加盟国・地域が着実に遂行していくことの推奨。同時に、APEC参加国・地域間の経済発展レベルの格差を考慮して、閣僚たちは発展途上国・地域メンバーの対応能力強化のための技術支援への協力を呼びかけました。

ハーディーBSAアジア地域担当副会長は、次のように補足しています。「APECが提示した取り組みは理想的な内容であり、APEC加盟国・地域の協力体制が、自由で開かれた貿易・投資を目指すゴール目標達成に向けてAPECを支えるための大きな役割を果たすことが期待されます。政府機関への合法ソフトウェア導入が成功事例としての効果を発揮し、民間セクターの広範囲にわたる合法ソフトウェア導入の推進へとつながっていくでしょう。この動きは、ソフトウェア・ITサービス産業の成長を加速させるだけでなく、合法ソフトウェア使用によって、APEC加盟国・地域の生産性向上にもつながります。」

1989年のAPEC発足以来、APEC加盟地域は世界で最も目覚しい経済発展を継続しています。発足当初10年間に、APEC加盟国・地域は世界の経済成長の70%近くを生み出しました。さらにアジア経済危機の間も、世界の他地域の成長を常に上回ってきました。開かれた貿易、投資、さらに経済改革への取り組みによってこの経済成長を支えるために、APEC加盟国・地域は共同で活動しています。

APEC加盟21ヶ国・地域:オーストラリア、ブルネイ・ダルサラーム国、カナダ、チリ、中華人民共和国、中国香港、インドネシア、日本、大韓民国、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、パプアニューギニア、ペルー、フィリピン共和国、ロシア連邦、シンガポール、台湾、タイ、アメリカ合衆国、ベトナム

APEC議長声明は、以下でご覧いただけます。
http://www.apec.org/apec/ministerial_statements/
sectoral_ministerial/trade/2006_trade.html

BSAについて

ビジネス ソフトウェア アライアンス(BSA)は、世界80カ所以上の国や地域でビジネスソフトウェア業界の継続的な成長と、安全で信頼できるデジタル社会の実現を目指して、政策提言・教育啓発・権利保護支援などの活動を展開している非営利団体です。BSAは急成長を遂げるビジネスソフトウェア 業界をリードする企業で構成されています。1988年の米国での設立以来、常に政府や国際市場に先駆け、世界のビジネスソフトウェア業界とそのハードウェア・パートナーの声を代表する組織として活動をつづけています。BSAワールドワイド・メンバーにはアドビシステムズ,アップル, オートデスク, アビッドテクノロジー, BEAシステムズ, ベントレー・システムズ, ボーランド, CA, ケイデンス・デザイン・システムズ, シスコシステムズ, CNC Software/Mastercam, デル, エントラスト, Frontline PCB Solutions- An Orbotech Valor Company, HP, IBM, インテル, アイナステクノロジー, マカフィー, マイクロソフト, Minitab, Monotype Imaging, PTC, RSAセキュリティ, SAP, ソリッドワークス, サイベース, シマンテック, シノプシス, テクラ, The MathWorks, トレンドマイクロ および UGS が加盟し活動を行なっています。詳しくは、BSA日本ウェブサイトwww.bsa.or.jpまたは、BSA米国本部ウェブサイトwww.bsa.org/usa/(英語)をご覧ください。