リリース記事

■2006/01/31
ビジネス ソフトウェア アライアンス、
今期、業界単位でのソフトウェア棚卸し支援に注力
- 法令遵守を推進する業界・経済団体等を広く募り、支援を積極化 -

安全で信頼できるデジタル社会の実現を推進するビジネス ソフトウェア アライアンス(BSA)は、2006年の基本活動方針を“業界単位でのソフトウェア棚卸しの支援”といたしました。今後、この基本方針に則り具体的な施策を検討してまいります。

今年の基本方針は、昨年BSAとACCSが、企業の自主的な違法コピーの予防と解消のきっかけづくりのために実施した自浄支援策「ソフトウェアライセンス再点検推進月間(再点検月間)」のコンセプトを踏襲し、広く業界団体や経済団体、公共団体に理解してもらうことで業界単位でのソフトウェアの棚卸しを推進し、結果としてコンプライアンス促進につなげるものです。

今回、「業界単位でのソフトウェアの棚卸し支援」を基本方針としたのは、昨年実施した再点検月間をきっかけとして、印刷・グラフィック業界を代表する3団体*から自主的に行う再点検キャンペーンへの協力を要請されるなど、個々の企業のみならず業界単位でも違法コピー一掃(コンプライアンス)に積極的に取り組む動きがあることが分ったためです。

BSAでは、業界団体や経済団体、公共団体などの主導によりソフトウェアの棚卸し(違法コピーの自浄活動)キャンペーンを行うことで、棚卸しの必要性がより周知され各団体の会員がより安心してキャンペーンへの参加ができる環境を整えられると考えています。

昨年、BSAに寄せられた組織内違法コピーに関する情報提供件数は前年比約70%増の345件となるなど、依然として違法コピー問題がコンプライアンスにとって大きな課題であることを示しています。

BSAは今期も引き続き、これら業界単位での自浄支援策を中核として、違法コピー問題の存在しない安全で信頼できるデジタル社会の実現を目指して活動してまいります。
以上

*全日本印刷工業組合連合会(全印工連)、社団法人日本グラフィックサービス工業会(JaGra)、日本グラフィックコミュニケーションズ工業組合連合会(GCJ)

今期活動予定

政策・提言活動

  • アジアにおける日本の知的財産保護強化への協力
    • CODA(コンテンツ海外流通促進機構)、IIPPF(国際知的財産保護フォーラム)への積極的な参加
    • ACA(不正商品対策協議会)アジアシンポジウムへの参加
  • 知的財産関連法強化のための積極的な政策提言

権利保護支援活動

  • 民事事案
    • 証拠保全のさらなる積極支援
    • 和解後の再発防止支援
  • 刑事事案
    • 他著作権団体との連携強化
    • 海賊版販売業者(露天商、オークション)の取締り協力
  • 情報提供窓口
    • 広告等による認知促進
    • 携帯インターネットでの窓口開設
    • 情報提供者保護のさらなる徹底

教育・啓発活動

  • 正規ユーザー化(違法コピー一掃)支援
    • 業界単位でのソフトウェア棚卸し支援キャンペーン
  • 高度な管理への意識啓発、再発防止支援
    • ソフトウェア資産管理(SAM)啓発セミナー
    • 教育啓発Web広告
  • ソフトウェア著作権の意識啓発
    • ホームページの改良
    • 世界違法コピー率調査

組織内違法コピーについて

企業や学校、病院、地方公共団体など複数のコンピュータでソフトウェアを使う組織内における違法コピーが、この「組織内違法コピー」であり、現在日本で顕著にみられる違法コピー形態でもあります。例えば、1 台のコンピュータでのみ使用することが許諾されたソフトウェアのパッケージを入手して複数のコンピュータにインストールするような場合がこれに該当します。

BSAについて

ビジネス ソフトウェア アライアンス(BSA)は、世界80カ所以上の国や地域でビジネスソフトウェア業界の継続的な成長と、安全で信頼できるデジタル社会の実現を目指して、政策提言・教育啓発・権利保護支援などの活動を展開している非営利団体です。BSAは急成長を遂げるビジネスソフトウェア 業界をリードする企業で構成されています。1988年の米国での設立以来、常に政府や国際市場に先駆け、世界のビジネスソフトウェア業界とそのハードウェア・パートナーの声を代表する組織として活動をつづけています。BSAワールドワイド・メンバーにはアドビシステムズ,アップル, オートデスク, アビッドテクノロジー, BEAシステムズ, ベントレー・システムズ, ボーランド, CA, ケイデンス・デザイン・システムズ, シスコシステムズ, CNC Software/Mastercam, デル, エントラスト, Frontline PCB Solutions- An Orbotech Valor Company, HP, IBM, インテル, アイナステクノロジー, マカフィー, マイクロソフト, Minitab, Monotype Imaging, PTC, RSAセキュリティ, SAP, ソリッドワークス, サイベース, シマンテック, シノプシス, テクラ, The MathWorks, トレンドマイクロ および UGS が加盟し活動を行なっています。詳しくは、BSA日本ウェブサイトwww.bsa.or.jpまたは、BSA米国本部ウェブサイトwww.bsa.org/usa/(英語)をご覧ください。

参考資料

過去の組織内違法コピー事件
組織内違法コピーに関する国内の判例は以下の2件です。

  判例1 判例2
判決時期 : 2001年5月(和解済) 2003年10月 
被告 : 大手司法試験予備校 PCスクール経営会社
原告 : ・米アップル・コンピュータ
・米アドビシステムズ
・米マイクロソフト
・米アドビシステムズ
・米クォークインク
・米マイクロソフト
侵害状況: 違法コピーしたソフトウェアを予備校業務に使用 違法コピーしたソフトウェアをPCスクール業務に使用
裁判所: 東京地方裁判所 大阪地方裁判所
判決のポイント: ソフトウェアの組織内不正コピーによる著作権侵害を認める初の判決 法人責任に加え、国内で初めて代表取締役の個人責任を認めた判決
損害賠償金: 約8,500万円 約4,000万円

違法コピーによる被害状況(出典 BSA/IDC世界違法コピー率調査、2005年5月発表)

項目 日本 全世界
2003年 2004年 2003年 2004年
違法コピー率 29% 28% 36% 35%
損害額 約1,800億円 約1,800億円 約290億ドル 約330億ドル

2006〜2009年までの4年間で日本の違法コピー率が10%低下した場合の経済効果
(出典 BSA/IDC 世界経済効果調査、2005年12月発表)

項目 日本 全世界
GDP浮揚効果 2兆8,800億円 4,000億米ドル
雇用創出数 35,000人 2,400,000人
税収効果 4,800億円 670億米ドル

BSA情報提供窓口(日本)への通報件数推移(フリーダイヤル、Eメール、ホームページ)

項目 2002年 2003年 2004年 2005年
情報提供数 157 178 203 345