■2004/07/07
第1回 世界ソフトウェア違法コピー調査の結果を発表、
2003年の日本の違法コピー率は29%、
同損害額は約1,800億円
〜新たな調査方法を採用し、PC上の全ソフトウェアを対象に〜
ビジネス ソフトウェア企業が参加する国際的な団体であるビジネス ソフトウェア アライアンス(本部:米国ワシントンDC、会長兼CEO:ロバート・ハリマン、以下BSA)は7月7日、全世界および各国・地域における2003年1月〜12月のコンピュータ・ソフトウェアの違法コピー状況を調査した「第1回世界ソフトウェア違法コピー調査」の結果を発表しました。同調査によると、日本における2003年の違法コピー率は29%と世界で7番目に低いものとなりましたが、一方、同損害額は16.3億米ドル(約1,800億円)と世界ワースト5位という結果になりました。
今回の調査は、BSAの委託によりハイテク調査企業の米インターナショナルデータコーポレイション(IDC)が実施したもので、オペレーティングシステム(OS)、コンシューマ・ソフトウェア、国内市場向けソフトウェアなどPC上の全てのソフトウェア・カテゴリを対象としました。なお、前回調査までは、ビジネス アプリケーション ソフトウェアのみを調査対象としていました。
調査方法が一新された今回の調査結果についてBSA日本事務局長の水越尚子は、「今回の新たな調査方法を採用したことにより、世界のソフトウェアの違法コピー問題をより広範囲にわたって正確に捉えることができました。29%という日本の違法コピー率はアジア太平洋地域では比較的低い水準にあるといえますが、損害額は依然大きく、知的財産立国を目指す日本がアジアの模範となるには改善の余地があり、BSAは引き続き知的財産の保護および適切な管理を支援していきます。」と述べています。
BSAアジア副会長兼地域責任者ジェフリー・ハーディ(Jeffrey Hardee)は「アジア太平洋地域の経済は、いまなおソフトウェアの違法コピーとの闘いという課題に直面しており、ソフトウェアの違法コピーの減少は、この地域の政府の関心の的です。昨年発表されたIDCの別の調査でも、ソフトウェアの違法コピー率とその国の経済へのITセクターの貢献には相関関係があることが明確に示されています。」と述べました。
今回の調査によると、中国やインドなどPC市場が急成長している市場では、違法コピー率も高い傾向にあることが判明しました。これらの新興成長市場で違法コピー率が低下しなければ、世界の違法コピー率は引き続き増加すると考えられます。
主要な調査結果は以下のとおりです。
高違法コピー率上位10ヶ国 | 低違法コピー率上位10ヶ国 | 高違法コピー損害額 上位10ヶ国 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
ベトナム | 92% | 米国 | 22% | 米国 | $6,496 | ||
中国 | 92% | ニュージーランド | 23% | 中国 | $3,823 | ||
ウクライナ | 91% | デンマーク | 26% | フランス | $2,311 | ||
インドネシア | 88% | スウェーデン | 27% | ドイツ | $1,899 | ||
ジンバブエ | 87% | オーストリア | 27% | 日本 | $1,633 | ||
ロシア | 87% | 英国 | 29% | イギリス | $1,601 | ||
アルジェリア | 84% | 日本 | 29% | イタリア | $1,127 | ||
ナイジェリア | 84% | ベルギー | 29% | ロシア | $1,104 | ||
パキスタン | 83% | ドイツ | 30% | カナダ | $736 | ||
パラグアイ | 83% | スイス | 31% | オランダ | $577 |
IDCは、世界中のソフトウェアおよびハードウェア出荷数に関するデータを使用し、15カ国で5,600回以上のインタビューを実施し、世界中にいる現地アナリストが各国市況を評価しました。IDCは、86カ国すべてのソフトウェア業界ベンダのPC、ソフトウェア、ライセンス出荷数についてIDCの独自モデルを使用して、違法コピー率および損害額を算出しました。
違法コピー率の算出方法
違法コピー率の算出は、「当該年度ソフトウェア違法コピー数」を「当該年度にインストールされたソフトウェア総数」で割った百分率として算出しています。上記、違法コピー数は、「当該年度に稼動しているPCにインストールされたソフトウェア総数」と、「当該年度に正規に出荷されたソフトウェアの本数」との差によって求められます。昨年までの調査との大きな相違点は、以下のとおりです。
- 昨年までビジネスアプリケーションソフトウェアのみだった調査対象に、OS、コンシューマ・ソフト、国内市場向けソフトウェアなどを調査対象に追加
- 算出基準となる主要データは従来BSAから提供していたが、今回からはIDC独自の市場分析データから入手
■BSAについて
ビジネス ソフトウェア
アライアンス(BSA)は、安全で信頼できるデジタル社会の実現のために貢献する主要な非営利団体で、政府や国際市場に先駆けて、世界のビジネス・ソフトウェア業界とそのハードウェア・パートナーの声を代弁しています。また、そのメンバーは世界で最も急成長を遂げている業界の代表的企業でもあります。
BSAの活動では、教育と、著作権保護、サイバー・セキュリティー、貿易、電子商取引の促進といった政治的イニシアチブを通じてテクノロジー革新の促進に努めています。BSAメンバーにはアドビシステムズ, アップル, オートデスク,
アビッドテクノロジー,エントラスト,ベントレー・システムズ, ボーランド,
シスコシステムズ, CNC Software/Mastercam, HP, IBM,インテル,インターネットセキュリティ システムズ, Intuit, マクロメディア, マイクロソフト, ネットワークアソシエイツ, RSAセキュリティ,
ソリッドワークス,
サイベース, シマンテック, UGS PLM Solutionsおよびベリタスソフトウェアが加盟しています。また、日本では、株式会社ジャストシステム、株式会社モリサワが活動に参加しています。
詳しくは、BSA日本ウェブサイトwww.bsa.or.jpまたは、BSA米国本部ウェブサイトwww.bsa.org/usa/(英語)をご覧ください。
参考資料(PDF形式)