リリース記事

■2002/06/12
2001年の全世界のソフトウェアの違法コピー率は40、
被害総額は110億米ドル
-日本の違法コピー率は37%と、前年比横ばい-

コンピュータソフトウェアの権利保護団体、ビジネス ソフトウェア アライアンス(Business Software Alliance、以下BSA、本部:米国ワシントンDC、会長:ロバート・W・ハリマン)は、全世界における2001年1月〜12月のコンピュータソフトウェアの違法コピーに関する調査結果を発表しました。それによると、2001年の全世界の違法コピー率は、昨年より3ポイント上昇して40%に、損害額は2000年の118億米ドルから8億米ドル減少の110億米ドルになりました。

日本の違法コピー率は昨年と同様の37%で、損害額は前年比5,500万米ドル増加して17.2億米ドルになりました。日本における損害額は、1995年の調査開始以来最高額になります。

同調査は、BSAの委託により、インターナショナル・プランニング・アンド・リサーチ(International Planning and Research、以下IPR)が毎年実施しているもので、今年で7回目の調査となります。26種類のビジネス・アプリケーション・ソフトウェアを調査対象に、世界の85の国と地域におけるソフトウェア市場の売上データと市場情報にもとづき、違法コピー率と、違法コピーによる経済的損害を算出しています。

BSAのロバート・ハリマン会長は、今回の調査結果に関して次のように述べています。「2年連続して世界における違法コピー率が上昇しました。BSAがこれまで法制度整備への取組みや教育、啓発活動の実施を通じ、安全で合法的なオンライン社会の形成を呼びかけているなかで、これは非常に残念な傾向です。この調査結果は、 BSAが展開している教育、啓発活動や権利執行への支援活動をこれまで以上に強化する必要があることを示唆しています。違法コピーは窃盗と同じ犯罪であり、ソフトウェア関連業界における何百万人もの雇用機会を損失させるだけでなく、各国政府にとっては貴重な税収が失われることにもなり、世界経済に大きな弊害をもたらすのです。」

全世界における違法コピー率および損害額
全世界における2001年の違法コピー率は、2000年から3%ポイント上昇して40%でした。違法コピーによる推定損害額は2000年の118億ドルから6.7%低下して110億ドルとなりました。損害額の大半(85%)は、 世界のソフトウェア使用の大半をしめる北米(19億米ドル)、西欧(27億米ドル)、アジア(47億米ドル)での違法コピーが占めています。全世界における違法コピー損害額の低下の背景には、2001年における世界的なドル高傾向、世界全体の景気後退、そして、ソフトウェア価格が下がったことにより、違法コピーのリスクと比較して正規のソフトウェアのメリットが向上したことなどがあげられます。

地域別にみると違法コピー率が最も高かったのは、前年に引き続き東欧地域で67%(前年63%)、最も低かったのはアメリカ、カナダを含む北米地域で26%でした。アジア太平洋地域の違法コピー率は、前年比3ポイント上昇し、54%となりました。損害額は、前年から6億米ドル増加の47億米ドルで、調査した6大地域内最高となりました。

世界地域別の違法コピーによる損害額 2001年1月〜12月(IPR推計)

  損害額 (100万米ドル) 世界の損害額に占める割合
西ヨーロッパ $2,659.9 24%
東ヨーロッパ $434.6 4%
北米 $1,997.0 18%
ラテンアメリカ $864.7 8%
アジア・太平洋 $4,726.5 43%
アフリカ・中近東 $284.6 3%
全世界合計 $10,967.3 100%

日本の違法コピー率および損害額
2001年の日本の違法コピー率は37%で、前年と同率でした。違法コピーによる推定損害額は17.2億米ドルと前年の16.7億米ドルから増加しています。日本の違法コピー率は1995年から連続して下落し1999年には31%となりましたが、2000年には37%と上昇し、2001年も前年比横ばいという結果になりました。

BSA日本事務局では、今回の結果について、コンピュータが急速に普及しているにもかかわらずソフトウェアの著作権や違法コピーに対する理解促進が十分にいきわたっていないこと、日本における違法コピーによる損害の主因である組織内違法コピーが依然として後を絶たないこと、さらに高速インターネットの普及などによるインターネットを介した新たな形態の違法コピーの増加などが背景にあると分析しています。

BSAでは、日本における組織内違法コピー撲滅をめざし、2001年にBSAはソフトウェア著作権に対する理解促進のため、企業や組織のコンピュータ管理者向けセミナーや教育用CD-ROMの配布、経営者向けのセミナーやダイレクトメール、学校や社内掲示用ポスターの配布など、教育・啓発活動を展開し、ユーザーにおける著作権保護認知向上を推進してきました。さらにTV広告や交通広告を利用した違法コピーに関する情報提供を促進するキャンペーンなどを継続的に実施しています。これらの取組みを通じてさまざまな立場のユーザーに違法コピーの問題の深刻さを訴え、違法コピー対策に不可欠なユーザーからの情報提供を促す努力をしています。

大規模な企業や組織においてソフトウェア管理が強化されている一方で、一部の企業では依然として確信的、継続的に違法コピーが行われており、これが日本における違法コピーの大きな要因となっています。BSAは日本の組織内違法コピー撲滅のために民事的な解決における権利者へのサポートを行っています。さらに、増えつづけるインターネット上の違法コピー問題解決のために官公庁、業界団体へ積極的に提言を行っています。

BSAは、エンドユーザー向けにソフトウェアの著作権保護と効率的管理への理解を深めるための活動を行っています。著作権教育の支援活動などのほか、日本をはじめ全世界で業界団体や各種公的機関との連携による活動を展開しています。BSAは、アドビシステムズアップルオートデスクベントレー・システムズ、ボーランド、CNCソフトウェア/マスターキャムマクロメディアマイクロソフトネットワークアソシエイツノベルシマンテック、UGSなど大手ビジネスソフトウェア会社が組織する非営利団体です。世界の65以上の国や地域でソフトウェアの権利保護活動を展開し、ソフトウェア産業の発展に貢献しています。日本においては、株式会社ジャストシステムが権利執行活動に協力しているほか、ACCSともソフトウェアの違法コピー防止を目的とした教育・啓発活動で連携しています。BSAの詳しい活動内容をホームページ(http://www.bsa.or.jp)に掲載しているほか、違法コピーホットライン(0120-79-1451 <なくそう、違法行為>)と電子メール(hotline@bsa.or.jp)や、ホームページ(http://www.bsa.or.jp)では組織内違法コピーに関する情報を受付けています。

参考:BSAジャパンのウェブサイト(http://www.bsa.or.jp)ではBSAが最近米国で実施したオンライン上のソフトウェアの違法コピーに関する調査報告を掲載していますので、こちらについてもご参照ください。

【1】アジア・太平洋地域における、コンピュータ・ソフトウェアの著作権侵害行為による損害額および違法コピー率(IPR推計)〜 1995−2001年 7年間比較 〜
アジア・太平洋地域における、コンピュータ・ソフトウェアの著作権侵害行為による損害額および違法コピー率比較表はこちら。

【2】違法コピー率が高い10カ国のリスト

  国名 2000年 2001年
1 べトナム 97 (%) 94 (%)
2 中国 94 92
3 インドネシア 89 88
4 ウクライナ/その他CIS諸国 89 87
5 ロシア 88 87
6 パキスタン 83 83
7 レバノン 83 79
8 カタール 81 78
9 ニカラグア 78 78
10 ボリビア 81 77

【3】違法コピーによる損害額が多い10カ国のリスト

  国名 損害額 (100万米ドル) 各国違法コピー率 (%)
1 アメリカ $1,807.70 25%
2 日本 $1721.10 37%
3 中国 $1,662.40 92%
4 ドイツ $681.60 34%
5 フランス $527.50 46%
6 イタリア $468.20 45%
7 インド $365.30 70%
8 ブラジル $347.00 56%
9 イギリス $290.70 25%
10 カナダ $189.30 26%

上記の10カ国における損害額合計は80億米ドルで、全世界の損失額合計の72.7%に相当する。

【4】違法コピー率算出方法
インストールされたソフトウェア(需要)本数と合法的に出荷されたソフトウェア(供給)本数との差が、違法コピーされたソフトウェアの数に相当すると考えられます。違法コピー率は、違法コピーされたソフトウェアの数をインストールされたソフトウェア総数で割った割合(%)で算出されます。

【5】世界各地域の概要

アジア太平洋地域:同地域では数ヵ国で違法コピー率が上昇しています。インドは7%ポイント、マレーシアは4%ポイント上昇して、ともに70%に、またフィリピンでも2%ポイント上昇して63%に、シンガポールでも1%ポイント上昇して51%になっています。その他の国の違法コピー率は2000年から大きな変化はみられません。インドネシアは89%から88%へ、日本は37%と変わらず、オーストラリアは33%から27%に減少しました。ニュージーランドは26%と引き続きアジア太平洋地域で最も違法コピー率の低い国となっています。違法コピー率が高かった国はベトナム(94%)、続いて中国(92%)となりました。最も被害額の大きかった国は日本と中国(ともに 17億ドル)、およびインド(3億6,500万ドル)でした。

東ヨーロッパ:2001年度において東ヨーロッパ地域の違法コピー率は67%と引き続き最も高く、約4億3,400万ドルの損害が生じました。ロシアと、ウクライナおよびその他のCIS諸国は、ともに87%と同地域において最も高い違法コピー率となっています。この地域で3番目に大きいポーランドでは2000年の54%から2001年は53%とやや減少しました。

西ヨーロッパ:西ヨーロッパは引き続き世界で2番目に違法コピー率の低い(37%)地域となりました。損害額は2000年の31億ドルから27億ドルに減少したものの、引き続き世界で2番目の被害額を記録しました。この金額は世界全体の被害額の24%にあたります。2000年比で被害額が最も伸びた国はフランス(5億2,700万ドル)、およびドイツ(6億8,200万ドル)でした。デンマーク(26%)は2000年に引き続き、およびイギリス(25%)は最も低い違法コピー率でした。ギリシャ(64%)は西欧において3年連続で最も高い違法コピー率を記録しました。

中南米:中南米の違法コピー率の平均は2000年から2001年にかけてやや減少しました。地域最大の経済国であるブラジルとメキシコではそれぞれ56%(前年58%)、55%(前年56%)と、2000年の違法コピー率より減少しました。第3位の経済規模を持つアルゼンチンでは62%(前年58%)に上昇しました。プエルトリコ(47%)およびチリ(51%)は中南米で最も違法コピー率の低い国となりました。最も違法コピー率が高かった国はニカラグア(78%)でした。

中東およびアフリカ:中東で最大の経済力をもつトルコ、イスラエル、サウジアラビアそれぞれの違法コピー率は2000年から減少し、特にトルコでは5%減の58%になりました。イスラエルは40%と中東で最も低い違法コピー率を記録しました。レバノン(79%)、カタール(78%)、バーレーン(77%)は同地域で最も高い違法コピー率を記録しました。 アフリカ地域は2000年の調査より1%増(53%)と違法コピー率はやや上昇しました。この地域で最大の経済力をもつ南アフリカは、地域で最低の違法コピー率(38%)となり、ケニア(77%)とナイジェリア(71%)は最も高い違法コピー率を記録しました。

北米:北米の違法コピー率は2000年度から1%ポイント上昇し、25%となりましたが、引き続き世界では前年から変化のなかったカナダ(38%)と並び最も違法コピー率の低い国となっています。