■1998/06/10
BSA 「パッケージ・ソフトウェア産業が日本経済発展に果たす役割」に
関する調査レポートを発表
-パッケージ・ソフトウェア産業による日本の雇用機会創出、財政的貢献の最大のポイントは著作権保護活動の強化-
コンピュータ・ソフトウェアの権利保護団体ビジネス ソフトウェア アライアンス (Business Software Alliance、以下 BSA、本部:米国ワシントン DC、会長: ロバート・W・ハリマン) は、『パッケージ・ソフトウェア産業が日本経済発展に果たす役割』 と題する調査レポートを発表しました。
このレポートでは、パッケージ・ソフトウェア産業のもたらす雇用機会、財政的貢献など、潜在的な経済面での貢献を最大限にするためには、知的所有権を保護するというビジネス環境の整備が重要なポイントであるとしています。
このレポートは、BSA の委託により、コンサルティング会社のプライスウォーターハウス LLP (以下 PW) が 1997 年 6 月から 12 月にかけて調査・分析し、作成したものです。日本で初めてパッケージ・ソフトウェア産業の日本経済発展に対する貢献度を、雇用機会の創出、政府歳入の増加および違法コピーのもたらす社会的、経済的影響などの側面から分析し、日本経済に対するパッケージ・ソフトウェア産業の貢献に関する数量的データを提供しています。
- 1996 年のパッケージ・ソフトウェア産業の売上総額は、小売販売ベースで約 132 億米ドル (約 1 兆 7622 億円) で、それによって同産業がもたらした歳入は約 22 億米ドル (約 2,937 億円) にのぼった。同年、パッケージ・ソフトウェア産業は、ソフトウェアの販売および開発会社による直接的な雇用ならびにテクニカル・サポート・サービス、システム・インテグレーション、およびソフトウェアの流通といった部門で 13 万 9,313 件の雇用を生み出した。
- 一方、同産業の過去の成長率をもとに、PW では、日本のソフトウェア産業は、1996 年から 2001 年の 5 年間に年間 12.2 パーセントで成長を続けるだろうと予想しており、同産業がこの予想通り 12.2 パーセントで成長し続けた場合、2001 年には 34 億米ドル(約 4,539 億円)の経済的貢献と 18 万 7,315 件の雇用機会を生み出すと予想している。
PW ではこのレポートの作成にあたり、違法コピー率の低下の幅が少なかったとしても、それによってパッケージ・ソフトウェアの売上は飛躍的に拡大することになり、結果として同産業がもたらす雇用機会および政府歳入が増大すると予測しています。
- パッケージ・ソフトウェア産業のもたらす経済的効果について、PW が違法コピーとの関連性を分析した結果、1996 年時点で 41 パーセントであった日本の違法コピー率が消滅した (0 パーセントになった) と仮定すれば、7 万 2,443 件の追加の雇用機会と、11 億米ドル (約 1,467 億円) の追加の政府歳入をもたらしただろうと予測される。また、1996 年以降、違法コピー率が 0 パーセントのまま推移したとすれば、2001 年にはパッケージ・ソフトウェア産業によってもたらされる雇用機会の合計は、28 万 4,719 人に達し、歳入は合計 52 億米ドル (約 6,942 億円)に達すると予想される。
アドビシステムズ株式会社 代表取締役社長 木村 八郎氏は「世界的にみてもパッケージ・ソフトウェア産業は急速に成長しており、来たる情報化社会の中核的役割を果たす産業です。日本は情報技術や通信の発展が進んでいる国であり、われわれパッケージ・ソフトウェア産業はその発展の推進役であり支援者です。このレポートの通り、違法コピーの減少によって、日本全体が多くの恩恵をうけることができる事が分かります。BSA はその他の著作権保護団体と協力し、パッケージ・ソフトウェア産業全体でソフトウェアの違法コピーの撲滅に向けて、より一層の努力が必要です。」と述べました。
BSA メンバー企業の一社、マイクロソフト株式会社 代表取締役社長 成毛 真氏は「ソフトウェアはわれわれの仕事を技術的により効率的で創造的なものとし、製品やサービスの質を向上させます。ソフトウェア産業はわれわれの仕事の熟練度を高めるのに役立っているばかりでなく、産業自体の成長を促すものでもあるのです。違法コピーのもたらす悪循環を絶たなければ、ソフトウェア産業の根幹に悪影響を与えることになります。」 と述べました。
BSA のアジア地域担当副会長のマイケル 阿部は「現在の困難な経済情勢にあって、一歩でも先んじようとするアジアの国々では『マレーシア・マルチメディア・スーパー・コリドー』、『シンガポール・ワン』、タイの 『グローバル・トランスパーク』などの国家的プロジェクトを進めています。これらは経済における IT (情報技術) 産業の重要性を証明するものです。」と述べました。
BSA は、1988 年に設立し、アドビシステムズ、アップル、オートデスク、ベントレーシステムズ、ロータスデベロップメント、マイクロソフト、ノベル、シマンテックなど大手ビジネスソフトウェア会社が組織する非営利団体です。BSA は世界 65 カ国以上でソフトウェアの権利保護活動を展開し、ソフトウェア産業の発展に貢献しています。日本においては、株式会社ジャストシステムが活動に参加しています。
BSA は、組織内違法コピー対策に重点をおいて活動しています。調査並びに教育・啓発活動に関して社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会や社団法人日本パーソナルコンピュータソフトウェア協会など関連団体と協調して活動しています。日本語のウェブサイト: http://www.bsa.or.jp