■2011/5/12
2010年のソフトウェア違法コピー、日本の損害額は1,431億円
〜 調査開始以来初めて世界で最も違法コピー率の低い国に 〜
ビジネス ソフトウェア アライアンス(本部:米国ワシントンDC、会長兼CEO:ロバート・ハリマン、以下BSA)は本日、2010年における全世界のコンピュータ・ソフトウェアの違法コピーによる被害状況をまとめた「第8回BSA世界ソフトウェア違法コピー調査」の結果を発表しました。それによると、日本の違法コピー率は前年比1%減の20%で2003年の調査開始以来、初めて世界1位(米国、ルクセンブルク大公国と同位)を達成しました。しかしながら、その損害額は16.24億USドル(約1,431億円*1)で世界ワースト10位(前年8位)でした。
「BSA 世界ソフトウェア違法コピー調査」は、BSAが世界的なハイテク調査会社であるIDCに委託し2003年から毎年実施しているもので、8回目を迎えた今回は、世界116ヶ国を対象に調査が行われました。また、今回の調査からイプソス・パブリック・アフェアーズによるコンシューマーおよびビジネスPCユーザー15,000人、世界32カ国を対象とした調査が加えられました。
今回の結果を受けBSA日本担当事務局長の松尾早苗は、「日本は違法コピー率、損害額ともに対前年比で減少したものの、損害額では依然として世界のワースト10に入るという不名誉な結果が続いています。日本は多くの国内企業が知的財産をビジネスモデルの基盤としており、ソフトウェアという知的財産に対しても意識が高いはずですが、このような傾向が依然として続いていることは非常に残念です」と述べています。
本調査結果によると、全世界における違法コピー率の平均値は42%となりましたが、調査対象の半数の国においては62%、もしくはそれ以上の数値を示しています。毎年拡大が続く損害額は587.54億USドル(約5兆1,756億円*1)となり、2003年の調査開始以来、約2倍近い金額に達しています。ソフトウェア・マーケットが急拡大している新興国では、違法コピーによる損害も拡大しており、全世界の損害額の半分以上を占める319億USドル(約2兆8,101億円*1)となっています。
財団法人日本情報処理開発協会(JIPDEC)情報マネジメント推進センター 副センター長の高取敏夫氏は今回の発表に際し、「JIPDECでは、情報セキュリティの強化およびITサービスの品質向上の観点から、SAMの導入を促進しています。特に、ソフトウェアライセンスの不正利用などの問題は、企業・組織のコンプライアンス意識そのものに疑念を持たれるだけでなく、社会的な信用の失墜につながる恐れがあります。BSAのソフトウェア違法コピーに関する調査は、JIPDECにとっても非常に興味深いものがあり、今後のSAMを導入する上での指針作りに活用したいと考えています」とコメントを寄せています。
違法コピー率が高い市場においては、PCユーザーはソフトウェアの入手方法が正規であるのか、あるいは違法であるのかという理解が乏しいという結果が報告されています。また世界のPCユーザーの81%が、正規ソフトウェアのほうが安全性および信頼性が高いと答えています。
知的財産であるソフトウェアを体系的に管理するSAM(ソフトウェア資産管理)の導入は、近年企業・組織、自治体等の重要な経営課題と捉えられ、ソフトウェアの不正利用の防止は勿論、ソフトウェア投資の最適化に繋がるため、その必要性はさらに高まりつつあります。その一方で、BSAが開設している組織内違法コピーに関する情報提供窓口には、毎年数百件の通報があるなど、依然としてソフトウェアの違法コピーは大きな問題となっています。BSAでは引き続きソフトウェアの著作権に関する意識啓発のほか、自治体および民間企業を対象としたSAM構築支援活動を積極的に行うことで、違法コピー率の改善および損害額の減少に貢献してまいります。
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本調査は、IDCとイプソス・パブリック・アフェアーズの協同実施により、デスクトップ、ラップトップ、ウルトラポータブルなどのPC上で動作するすべてのパッケージソフトウェアを対象にしています。対象のソフトウェアには、オペレーティングシステム(OS)、データベースやセキュリティパッケージなどシステムソフトウェア、ビジネスアプリケーションや正規のフリーソフトウェア、オープン ソース ソフトウェアが含まれます。IDCは今回の調査のために、ソフトウェアおよびハードウェアの出荷数に関する独自の統計値を使用しています。また、100カ国近くに在住するIDCアナリストが、現地の市場状況を把握し、世界の違法コピー率を調査しました。またイプソスが、世界中の約15,000人のコンシューマーおよびビジネスPCユーザーを調査しました。
*1 為替レートは1USドル=88.09円で計算(2010年平均為替レート「財務省貿易統計webサイト」より)
「BSA 世界ソフトウェア違法コピー調査」専用情報サイト
http://www.bsa.or.jp/press/related/2011_Global_Piracy_Studyj.html(日本語)
※各国のリリースは、www.bsa.org/globalstudy(BSA米国本部ウェブサイト)をご覧ください。
違法コピー率と損害額の算出方法
※詳しい算出方法に関しては、www.bsa.org/globalstudy上の解説ビデオ(英語)をご覧ください。
BSAについて
ビジネス ソフトウェア アライアンス(BSA)は、世界80カ所以上の国や地域において、政策提言、教育啓発、権利保護支援などの活動を通じ、ビジネスソフトウェア業界の継続的な成長と、安全で信頼できるデジタル社会の実現を目指す非営利団体です。BSAは急成長を遂げるビジネスソフトウェア 業界を牽引するメンバー企業によって構成されています。1988年の米国での設立以来、常に政府や国際市場に先駆けて、世界のビジネスソフトウェア業界とそのハードウェア・パートナーの声を代表する組織として活動を継続し、教育啓発および著作権保護、サイバーセキュリティー、貿易、電子商取引を促進する政策的イニシアティブなどを通じ、技術革新の促進に努めています。BSAのメンバーには、アドビシステムズ, アジレント・テクノロジー, アップル, Aquafold, ARM, Arphic Technology, オートデスク, ベントレー・システムズ, CNC/Mastercam, コーレル, Dassault Systemes SolidWorks Corporation, メンター・グラフィックス, マイクロソフト, Minitab, NedGraphics, オルボテック, Parametric Technology Corporation, Progress, Quest Software, ロゼッタストーン, シーメンス, サイベース, シマンテック, テクラおよび The MathWorksが加盟し、活動を行っています。詳しくは、BSA日本ウェブサイトwww.bsa.or.jpまたは、BSA米国本部ウェブサイトwww.bsa.org/usa/(英語)をご覧ください。
IDCに関する詳しい情報は、www.idc.comをご参照ください。
イプソス・パブリック・アフェアーズに関する詳しい情報は、www.ipsos.comをご参照ください。