リリース記事

■2008/3/25
BSAメンバー、首都圏所在の学校法人と和解
〜 和解総額は全世界で過去2番目に最高となる約2億1千万円 〜

安全で信頼できるデジタル社会の実現を推進するビジネス ソフトウェア アライアンス(本部:米国ワシントンDC、会長:ロバート・ハリマン、以下BSA)はこのたび、BSAメンバー企業と首都圏所在の学校法人(以下A)との間におけるビジネスソフトウェアの著作権侵害に関し、BSA全世界では過去2番目、日本を含むアジア地域では過去最高額となる約2億1,000万円の和解が成立したことを発表しました。

本件は、BSAが組織内違法コピーの問題解決のために設置している情報提供窓口への通報が端緒となり発覚したもので、権利者であるアドビ システムズ インコーポレイテッド(以下アドビ)、アップル インク(以下アップル)、オートデスク インク(以下オートデスク)、ボーランド ソフトウェア コーポレーション(以下ボーランド)、およびシマンテック コーポレーション(以下シマンテック)のBSAメンバー企業5社とAとの間で協議していたものです。

Aの著作権侵害発覚後に行われたソフトウェア・ライセンス調査の過程では、BSAメンバー企業5社のビジネスソフトウェアのべ10,364本にものぼる違法コピーが発見されるなど、その著作権侵害の規模はBSAが活動する世界80カ所以上の国や地域では、過去2番目に最大であり、日本を含むアジア地域では、過去最大のものでした。

今回の和解に関して、BSA日本副事務局長の松尾早苗は「違法コピー率が世界で3番目に低く、かつ知的財産立国を目指している日本の教育機関において、これほど大規模な著作権侵害が行われていたことに驚いています。BSAは、これまで、さまざまなソフトウェア管理支援策を講じるなど、とりわけ教育機関に対する支援に注力してきましたが、依然として知的財産に対する意識の低い教育機関が存在していたことを大変遺憾に思います」と述べています。

また、BSA副会長兼アジア太平洋地域責任者のジェフリー・ハーディーは、教育機関における知的財産について「世界が知識経済へと移行している中、現代の学生にとって最も大切なのは知的財産の価値や著作権について認識することです。そのために、今日、教育者達は、将来の先導者や就労者となる若者達に知的財産を尊重するよう教育するだけでなく、教育者自らが手本となって実践するという大切な役割を果たしています。」と述べております。

近年、ビジネスソフトウェアの著作権侵害事案では和解総額が1億円を超える大規模なケースも散見されるなど、組織内違法コピーの放置が企業や組織そして学校にとっての大きな潜在的リスクとなることが明らかになっています。また、違法コピーやビジネスソフトウェアの全校管理を漫然と放置した経営者において、共同不法行為責任が生ずる可能性もあります。

BSAでは今後、著作権に関わる政策提言活動、ライセンス管理に関するセミナーやホームページを通じての各種資料提供/情報発信といった教育啓発活動を積極的に行う一方、正規のソフトウェア利用者保護および著作権者の権利保護のために、意図的な組織内違法コピーに対しては引き続き法的手続きも視野に入れた権利保護支援活動を行ってまいります。

組織内違法コピーについて

企業や学校、病院など複数のコンピュータでソフトウェアを使う組織内における違法コピーが「組織内違法コピー」であり、現在日本でもっとも多く見られる違法コピー形態でもあります。例えば、1台のコンピュータでのみ使用することが許諾されたソフトウェアのパッケージを入手して複数のコンピュータにインストールするような場合がこれに該当します。

BSAについて

ビジネス ソフトウェア アライアンス(BSA)は、世界80カ所以上の国や地域でビジネスソフトウェア業界の継続的な成長と、安全で信頼できるデジタル社会の実現を目指して、政策提言・教育啓発・権利保護支援などの活動を展開している非営利団体です。BSAは急成長を遂げるビジネスソフトウェア 業界をリードする企業で構成されています。1988年の米国での設立以来、常に政府や国際市場に先駆け、世界のビジネスソフトウェア業界とそのハードウェア・パートナーの声を代表する組織として活動をつづけ、教育啓発、および著作権保護、サイバーセキュリティー、貿易、電子商取引を促進する政策的イニシアチブを通して技術革新の促進に努めています。BSAのメンバーにはアドビシステムズ, アップル, オートデスク, アビッドテクノロジー, ベントレー・システムズ, ボーランド, CNC Software/Mastercam, コーレル, マカフィー, マイクロソフト, Monotype Imaging, PTC, クォーク, Quest Software, シーメンスPLMソフトウェア, ソリッドワークス, サイベース, シマンテック, The MathWorks が加盟し活動を行なっています。また、アジア太平洋地域ではアジレント・テクノロジー, アルティウム, BEAシステムズ, Frontline PCB Solutions- An Orbotech Valor Company, アイナステクノロジー, Mindjet, Minitab, SPSS, テクラおよびトレンドマイクロ がそれぞれ活動に参加しています。 詳しくは、BSA日本ウェブサイトwww.bsa.or.jpまたは、BSA米国本部ウェブサイトwww.bsa.org/usa/(英語)をご覧ください。

参考資料

著作権侵害に関する和解額ワースト5
〜ビジネスソフトウェアの場合〜

1位 2位 3位 4位 5位
和解金額 約2億1千万円 約1億8千万円弱 約1億5千万円超 約1億4千万円弱 約1億2千万円弱
業界 学校法人 製造業 製造業 ソフトウェア受託開発会社 精密機械機器製造会社

BSA情報提供窓口(日本)への通報件数推移
(フリーダイヤル、Eメール、ホームページ)

項目 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年
情報提供数 157 178 203 345 376 506

2007年業界別情報提供数上位

順位 1位 2位 3位 4位 5位
業界 ソフトウェア業界 広告・出版業界 土木・建設業界 印刷業界 派遣業界
件数 101件 41件 22件 18件 15件

違法コピーによる被害状況(出典 BSA/IDC世界違法コピー率調査、2007年5月発表)

項目 日本 全世界
2005年 2006年 2005年 2006年
違法コピー率 28% 25% 35% 35%
損害額 約1,800億円 約2,100億円 約340億ドル 約395億ドル

2008〜2011年までの4年間で日本の違法コピー率が10%低下した場合の経済効果
(出典 BSA/IDC 世界経済効果調査、2008年2月発表)

項目 日本 太平洋・アジア地域
GDP浮揚効果 89億ドル(約9,790億円) 400億米ドル
雇用創出数 1万2,400人 43万5,000人
税収効果 20億ドル(約2,200億円) 50億米ドル